お金を増やしたいなら積立型保険はやめよう④ 〜個人年金保険〜

古田島 三和
by 古田島 三和
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老後資金のためには個人年金保険!?

前回の記事では
学資保険について、利回りに直してどのくらい「お得か」を見ました。
(と言っても全くもってお得ではなかったですねw)

積立型の保険というと、学資保険と同じくらい有名なのが個人年金保険ではないでしょうか。

昨年話題になった「老後2000万円問題」
それ以前からも、年金が不安だから自分で老後資金を蓄えていかないとという考えの方は多く、「老後の備えとして個人年金保険で備えましょう」という文言の通り、個人年金保険に加入されている方も多いように思われます。

そこで今回は、個人年金保険がどのくらい「お得」なのかを見ていきましょう。

目的:60歳以降の老後資金を準備したい。
契約者:30歳女性


【個人年金保険】
保険料を支払う期間:30年
毎月の保険料:19,008円

個人年金保険は下記のような形です。

30歳から60歳までの30年間、毎月19,008円払っていきますので、総額6,842,880円支払います。
60歳まで30年間支払うと、毎年72万円の年金を10年間に渡って受け取れるというものです。
(受取年数やいつから受け取るかなどは商品によります。)

個人年金保険も保険ですから、もし払込途中でお亡くなりになった場合、
それまでに支払った保険料総額が死亡給付金として支払われます。
終身保険に比べると死亡保障としては小さいのが特徴です。

こちらの例ですと、

払込保険料累計:6,842,880円
年金総額:7,200,000円

つまり

返戻率105.2%、40年後に約36万円プラスになるという商品です。

個人年金保険を利回りで表してみよう

さて、上記の個人年金保険、返戻率105.2%、約36万円のプラスという商品ですが、
他の商品に比べてどれだけ「お得」なのか、この情報だけではわかりません。

例えば銀行預金に比べてどのくらいお得か、比較するためには一般的に金融商品で使われる「利回り」に直すことで初めて比較ができるわけです。

そこでこの個人年金保険を利回り表記に直して見てみましょう。

計算する際の注意点!
返戻率105.2%になるのは、保険料払込が終わった60歳時点ではなく、年金受取が完了する70歳時点です。
つまり40年かけて返戻率105.2%を達成するということですね。
よって利回り計算する場合、「40年で720万円を達成した」という計算をしなければなりません。

個人年金保険としては払込期間30年ですが、
利回り計算のときは40年かけて総額6,842,880円を払って、40年目で720万円になったという計算、
つまり毎月14,256円を40年積み立てたという計算をします。

これを楽天証券の「積立かんたんシミュレーション」を使用して利回り計算してみました。

はい、「0.25%」です。

返戻率105.2%、約36万円プラスになります!というこの個人年金保険は
「利回り0.25%」の商品ということです。

前回、前々回で取り上げた終身保険や学資保険よりも
プラスになる金額・返戻率共に大きかったこの個人年金保険も、
利回りに直してみたら結果的に前者よりも低かった、
この3商品の中では一番お得ではなかったということが利回りに直したことによってわかりましたね。

「お金を増やしたいなら積立型保険はやめよう」第1回目の記事で「返戻率に騙されちゃダメですよ」と言いましたが、全くその通りだということがわかったと思います。
返戻率としては一番大きかった商品が利回りに直したら一番利回りが低かったのですから、まず返戻率で比べてはいけないということです。

しかしそれよりももっと大事なこと、
返戻率100%以上だからプラスになる、と言っても利回りにすると1%もない商品ばかりです。

長期間積立をしても利回り1%もない商品ではインフレに対応ができません。
これでは積立をする意味がありませんよね。
つまり見た目の金額は増えていても、実質目減りしてしまっているわけです。

中長期でお金を準備していくのであれば「お金が増える」と言える、
最低でも利回り2%以上を確保できる商品で準備していくことを強くお勧めします。

生命保険料控除があるからお得?

「個人年金保険に加入していると税金が控除されますよね。それも含めたらお得ではないですか。」

以前保険相談を受けていた時によく言われた言葉です。

生命保険に加入して保険料を支払うと、支払った金額に応じて税金を軽減しますよという生命保険料控除というものがあります。
支払った保険料の一定額をその年の所得から控除するという制度です。
税率が計算される前の所得から差し引かれることによって、所得税と住民税が軽減されます。

平成24年に法改正が行われたため、
それ以前に加入している保険契約(旧制度)とそれ以降(新制度)では計算方法が違っています。
(詳細については下記の生命保険文化センターのページを参照してください。)

上記の個人年金保険の事例の保険料控除について具体的に見てみましょう。
(新制度になってから加入した場合で計算します。)

契約者:30歳女性
保険料を支払う期間:30年
毎月の保険料:19,008円

【所得税】
個人年金保険は年間払込保険料額が8万円を超えると、一律4万円を控除するとなっています。
毎月19,008円支払っている上記の個人年金保険の場合、年間払込保険料額が8万円を優に超えますので、控除額は4万円です。

所得税は人によって違いますが、仮に所得税率10%の人の場合、
4万円×10%=4,000円
これが1年の所得控除額です。

どうでしょう?
思ったより少ない!と思う方が多いのではないでしょうか。

 【住民税】
住民税は年間払込保険料額が5.6万円を超えると、一律2.8万円を控除するとなっていますので、2.8万円が控除されるということですね。

住民税は概ね10%なので、
2.8万円×10%=2,800円
これが1年の住民税の控除額です。

所得税と住民税の控除額を合わせると、毎年6,800円。
これを含めて再度個人年金保険の利回り計算をしてみましょう。

払込保険料累計:6,842,880円
年金総額:7,200,000円

本来支払った保険料総額は6,842,880円ですが、控除額を差し引いた金額で720万円を達成したという計算をしていきましょう。

控除額合計
6,800円×30年間=204,000円

払込保険料累計:6,842,880円- 控除額合計:204,000円=6,638,880円

40年かけて総額6,638,880円を払って、40年目で720万円になったという計算、
つまり毎月13,831円を40年積み立てたという計算をします。

楽天証券の「積立かんたんシミュレーション」を使用して利回り計算してみると

はい、「0.4%」です。

控除額を含めてもたったの0.4%。
ひどいですねw

保険屋さんの「個人年金の控除枠を使ってお得に積み立てましょう」という言葉に騙されちゃダメですよ!

何度も言います。
長期間積立をしても利回り1%もない商品ではインフレに対応ができません。
見た目の金額は増えていても、実質目減りしてしまっているのです。

これでは積立をする意味がありません。

中長期でお金を準備していくのであれば「お金が増える」と言える、
最低でも利回り2%以上を確保できる商品で準備していくことを強くお勧めします!



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