2025/10/24

【10月第4週の金市場動向】金価格、利下げ期待で最高値更新も急落



先週までの金市場動向

まずは先週までの流れを簡単に振り返ってみましょう。10月中旬の金市場は大きく盛り上がり、米国の利下げ観測や米中間の摩擦などを背景に安全資産としての需要が高まり、金価格は連日で過去最高値を更新する展開となりました。実際、10月16日(木)には金現物価格が1トロイオンスあたり4,300ドルを超え、年初からの上昇率は+60%を記録しています。しかしその直後、10月17日(金)には米国のトランプ大統領が米中貿易摩擦に関して「中国の習近平国家主席との会談を予定通り実施する」と発言し、貿易への不安感が和らいだことで金相場は急反落しました。金価格は金曜日に1.8%下落し、5月以来の大幅な一日下落となりました。このように、先週は利下げ期待による金価格の急騰貿易懸念後退による急落が短期間で起きており、市場のボラティリティ(変動の激しさ)が高まっていました。


今週(10月20日~10月26日)の金相場ニュースまとめ

週明けの20日(月)、金相場は再び大きく上昇して取引を開始しました。前週末の急落でいったん調整が入ったものの、この日は米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利下げ観測が改めて意識され、安全資産である金に買いが集まったのです。さらに、市場では同週に予定されていた米中貿易協議や、米政府機関の一部閉鎖(シャットダウン)によって延期されていた米消費者物価指数(CPI)発表を控えており、不透明感が残る状況でした。こうした経済・政治への先行き不安が金の安全資産としての魅力を高め、金現物価格は前日比2%以上も急伸しています。

実際、この日の金価格は1トロイオンス=4,346ドルまで上昇し、先週記録した史上最高値(4,378ドル/オンス)に再接近する勢いとなりました。一方で、先週末の急落の反動もあり、一部では「一時的な戻りではないか」との声も聞かれましたが、市場全体としては再び強気ムードが戻った形です。

21日(火)、月曜とは一転して金相場は大幅下落となりました。金現物価格はこの日前日比で5%以上急落し、1オンスあたり4,123ドル前後まで値を下げました。この下げ幅は2020年8月以来約5年ぶりの大きさで、市場参加者に衝撃を与えました。背景には、前日までの急騰で十分利益が乗ったとみた投資家の利益確定売り(利食い売り)が一斉に出たことがあります。実際、高値圏では短期的な過熱感も指摘されていたため、「これ以上の上昇には一旦休憩が必要」との見方から売りが優勢となりました。

さらに決定打となったのが米国から伝わったポジティブなニュースです。トランプ大統領がこの日、来週に控えた習近平主席との首脳会談について「公平な貿易合意に達する見込みだ」と楽観的な姿勢を示し、台湾問題を巡る衝突の懸念も軽視する発言を行いました。この発言により米中関係改善への期待感が一気に高まり、前日まで金を買っていた投資家がリスク回避姿勢を弱めたのです。言い換えれば、「最悪の事態は避けられそうだ」という安心感(楽観ムード)が広がり、安全資産である金を持つ必要性が薄れたということです。

その結果、月曜に買われた金が一斉に売られ、前日の上昇分を打ち消すどころか一気に下落する展開となりました。市場では「8月以来の大幅安」「ここまで急激だと行き過ぎでは」との声もありましたが、5%を超える下落幅はまさにジェットコースターのような値動きでした。なお、この日は米企業の好決算発表などで株式市場が比較的堅調だったこともあり、投資マネーが株式などリスク資産に移った面もあります。米国株は主要指数が概ね横ばいながら堅調さを維持し、投資家心理が改善したことも金安要因となりました。

22日(水)、前日の急落を受けて、この日の金相場は引き続き軟調でしたが、下げ幅は小幅にとどまりました。金価格は一時2週間ぶりの安値圏まで下落しつつも、前日終値比で約1.7%安の1トロイオンス=4,054ドル前後で下げ渋る場面が見られました。前日に5年ぶりの急落を経験したことで市場には自律反発狙いの買いも入りやすくなっており、一部の投資家は「これ以上の下落は限定的」と判断して押し目買いを入れたようです。また、移動平均線などテクニカルな下値支持線(21日移動平均:約4,005ドル)が意識され、テクニカル的にも下げ止まりやすい水準だったことも下支えとなりました。

しかし全体としては積極的な買い戻しには至らず、市場は様子見ムードが強まりました。というのも、翌日以降に控えた重要イベントへの警戒感が残っていたためです。特に米消費者物価指数(CPI)の発表が週末に予定されており、結果次第ではFRBの金融政策に影響を与える可能性がありました。加えて、米政府機関の一部閉鎖が長期化し経済指標の発表遅延が続く中で、マーケットはデータ不足の“手探り”状態。投資家は「まずはCPIを見極めたい」との思いから大きな方向感を出しづらく、金市場はこの日も調整局面が続いた形です。実際、前日の急落があったとはいえ年初来では依然+57%もの上昇を保っており、強気派・弱気派ともに次の材料待ちという静かな水曜日となりました。

23日(木)、金相場は二日間の下落を経て反発に転じました。前日までに急ピッチの調整が進んだことで割安感が出始め、一部の投資家が押し目買い(下げたところでの買い)を入れたことが支えとなりました。特に、この日は米国発の新たなニュースがいくつか伝わり、再び安全資産としての金の需要が高まったことが上昇要因です。具体的には、米国政府が中国への先端技術輸出の新たな制限を検討しているとの報道や、トランプ政権がロシアの大手石油企業(ルクオイルとロスネフチ)に対し追加制裁を科したとのニュースが入りました。これらは米中間の対立激化や地政学的リスクに繋がる可能性があり、市場に緊張感をもたらしました。この「嫌な予感」に備える形で安全資産の金を買い戻す動きが強まったようです。

その結果、金価格はこの日前日比で約1%上昇し4,130ドル台を回復しました。米12月渡しの金先物も+2%と上昇し、調整一服の様相です。月曜に付けた史上最高値(4,381ドル)から火曜にかけて急落した分の一部を取り戻した格好ですが、それでも週初来の高値にはまだ届かない水準です。市場関係者からは「今年金を押し上げてきたファンダメンタルズ(利下げ環境や中央銀行の金購入など)は依然健在で、今回の下落はあくまで調整の範囲内」との声も聞かれました。実際、「強気派の投資家は押し目とみて再参入する傾向がある」とも指摘されており、木曜の反発はそうした押し目買い勢力の存在を改めて示す形となりました。もっとも、この時点で市場の関心は翌日に迫った米CPI発表へと移っており、「結果を見るまでは大きくは動けない」という慎重姿勢も同時に残っていました。

24日(金)は週末かつ米CPI発表(9月分、政府閉鎖で延期されていたもの)が予定された日でした。この日のアジア時間までの金相場は小幅な値動きにとどまり、東京市場が開いた午前中時点では前日比+0.3%ほどわずかに上昇しました。依然くすぶる国際情勢の不透明感(米中間の貿易摩擦や各国の対立など)が底流では金を支える一方、週初の急落からの自律反発も一巡し、投資家は「まずインフレ指標を見極めよう」と様子見の姿勢を崩しませんでした。事実、この日のCPIコア指数は市場予想で前年比+3.1%程度と見込まれており、結果が予想とかけ離れない限りFRBの利下げ路線に変化はないだろうというのが大方の見方でした。またホワイトハウスは前日、トランプ大統領と習近平主席の会談を翌週に控えていることを正式発表し、市場には貿易協議の行方を見守る空気もありました。こうした中、金価格は日中を通して狭いレンジ内で推移しています。

しかし週間ベースで見ると、今週の金相場は大きく下落した週となりました。月曜始値と比べて金現物は週末時点で-2.7%安と、週単位では5月以来となる大幅な下げを記録しています。週初に史上最高値圏まで買われた後に急落し、その後小幅反発したものの上値を追えなかったため、結局週トータルでは下げが優勢だった格好です。「安全資産の代表」として年初から上昇街道を走ってきた金ですが、今週はその値動きの荒さに改めて注意を喚起された週となりました。


来週への展望と対策

今週の金相場は、まさに乱高下の展開でした。利下げ期待に沸いて最高値を更新したかと思えば、わずか数日で5%を超える急落を経験し、投資家心理が目まぐるしく揺れ動いたことがわかります。これは金という資産が、経済指標や要人発言など日々のニュースに敏感に反応することを改めて示しています。

特に初心者の方は、こうしたニュースに翻弄されて狼狽売買してしまいがちですが、大切なのは「腰を据えて冷静に相場を見守る」ことです。日々発表される経済ニュースや市場コメントに一喜一憂するのではなく、金価格のトレンドを落ち着いてウォッチし続けることを心がけましょう。幸い、金市場のファンダメンタルズ(基礎的要因)は依然強固です。今年に入ってからの中央銀行による金の購入や各国通貨への不安感、そして米利下げ局面など、金を支える要因は大きく変わっていません。今回の急落も利益確定売りによる調整という範囲で見れば、過度に悲観する必要はないでしょう。

来週以降の注目ポイントとしては、まず米FRBの金融政策会合があります。市場は次回会合での0.25%の利下げをほぼ織り込んでおり、実際に利下げが実施されれば金価格に再び上昇圧力がかかる可能性があります。ただし「材料出尽くし」となるリスクもあるため、結果だけでなくFRBの声明内容や今後のスタンスにも注目です。また、トランプ大統領と習主席の米中首脳会談の結果も見逃せません。仮に貿易協議で大きな進展があれば市場のリスク選好が強まり、金が一時的に売られる可能性がありますし、逆に決裂すれば安全資産需要で金が買われる展開も考えられます。さらに、延期されていた米経済指標の発表再開にも注目しましょう。政府機関閉鎖が長引く中でマーケットは“データ不足”でしたが、CPIを皮切りに各種統計が公表されれば景気の実像が見えてきます。それによって金市場の方向感も定まってくるでしょう。

最後になりますが、今週の経験から学べるのは「金相場といえど魔法のように一直線に上がり続けるものではない」という当たり前の事実です。だからこそ日頃から値動きを冷静に観察し、大きな流れを読むことが大事です。短期的なニュースに振り回されないようにしつつ、しかし日々の動きをしっかりウォッチして備えること。これが金投資において慌てずにチャンスを掴むコツと言えるでしょう。来週も引き続きマーケットを見守りながら、ブレずに自分の投資戦略を実行していきたいですね。


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