はじめに
4夜連続ライブの第3夜は、これまでの抽象的な「税務調査の世界」「危ない節税の見分け方」から一歩踏み込み、デジタル社会で変貌を遂げつつある税務調査の現状を具体的に考えました。マイナンバー制度の混乱、国税が進めるAI化、そして暗号資産やデジタル円といった新しい通貨の台頭は、私たち経営者が税務に向き合う方法を大きく変えようとしています。今回はライブの内容に加え、最新の金融・税務情報を補足しながら、第3夜のポイントを解説していきます。
・マイナンバーの普及と税務への影響 ・違法な銀行調査と国税の裁量 ・AI導入で変わる税務調査 ・暗号資産・ステーブルコイン・デジタル円の時代 ・新時代の節税のためにできること ・セミナーへのご案内:アーカイブを無料受講 ・次回予告:長期的に安心できる節税とは ・【税務調査・最新情報】マイナンバー・AI時代の税務調査とは?/暗号資産・ステーブルコイン・デジタル日本円(CBDC)時代の税務調査【4夜連続ライブ③】 ・書籍紹介
マイナンバーの普及と税務への影響
まず話題に上ったのはマイナンバー制度です。政府は健康保険証や運転免許証と連携させるなど普及拡大を進めていますが、実際にはまだデータ連携が不十分で、源泉徴収のデータと個人の申告情報がつながらないケースが起きています。ライブでも紹介されていた過去の事例では、企業が源泉所得税を預かったまま納付しなかったにもかかわらず、従業員は税務署に申告して還付を受けていたという話がありました。現在もニュースで、適当な数字を記載して確定申告を行い還付を受けた事例が報じられています。こうしたズレは依然として存在し、国税はまだ個人の口座や所得情報を完全に把握できていないのが現状です。
しかしこの状況は長く続きません。国税庁は2026年度を目標に「KSKシステム2.0」という新しい基幹システムを導入予定で、外部データの取り込みや調査先からのオンライン検索が可能になるとされています。AIを活用した調査の選定も本格化しており、実地調査の件数が減少する一方で、申告漏れ額と追徴税額は過去最高水準となっています。AIは過去の申告データや調査結果を学習し、申告漏れの可能性が高い納税者を絞り込むことで調査効率を高めています。従来の「人海戦術」からターゲットを絞った調査へと移行しつつあるのです。
違法な銀行調査と国税の裁量
ライブでは、国税が長年行ってきた「違法な銀行調査」にも言及していました。これは本来、特定の納税者に対する調査でなければ取得できない銀行口座情報を、反面調査と称して網羅的に取得するというもので、現場の研修資料でも「特殊な調査手法」として扱われるほどグレーな存在です。判例でも違法性が指摘されたものの、実際には有効証拠として用いられるケースがあるとのこと。税金坊の根本さんはこのような背景を知った上で、納税者側も法律を理解し適切に対応する必要があると強調していました。
AI導入で変わる税務調査
先ほど触れたように、国税庁はデジタル化の柱としてAIを導入しています。2024年事務年度の所得税調査では件数が前年より5%程度減ったにもかかわらず、申告漏れ所得金額が約1兆円、追徴税額も1,398億円と過去最高になったと報告されています。法人税の実地調査でも同様に件数は減りつつ、申告漏れ額と1件あたりの追徴税額が増加していることから、AIによる効率化が実際の成果につながっていると考えられます。
根本さんは、調査官の世代交代による人員の質の変化も指摘していました。団塊世代の大量退職と新人の増加で調査能力が下がったため、税務署に資料を持ち帰って分析する「留め置き」が増えたほか、若手の調査官はマニュアル通りの対応しかできず、コミュニケーションが取りづらいケースが増えています。今後KSK2.0の導入とAIの高度化が進むと、調査対象者の選定や追徴税額の計算など、さらなる自動化が可能になるでしょう。一方で、AIが誤った情報や偏ったアルゴリズムに基づいて判断すると納税者が不利益を受ける危険もあり、根本さんは「人間の判断が完全になくなるわけではない」と補足していました。
暗号資産・ステーブルコイン・デジタル円の時代
◼︎1 暗号資産の税務調査が本格化
暗号資産の税務調査は2018年頃から始まりましたが、当初は国税側も知識が乏しく、調査官も「仮想通貨って何ですか?」という状況だったそうです。しかしこの7年で状況は大きく変わり、専門の担当官を置く税務署も増えてきました。日本国内の取引所には取引データの提出が義務付けられており、国際的には暗号資産に関する情報交換制度「CARF(Crypto-Asset Reporting Framework)」が2026年から稼働します。これにより海外の取引所で行った取引も各国税務当局に共有され、国境を超えた脱税が難しくなると予想されます。DeFi(分散型金融)やNFTといった新しい仕組みに対する税制整備も進められており、暗号資産を扱う経営者はこうした動向に目を配る必要があります。
◼︎2 ステーブルコインとデジタル円の特徴
デジタル通貨の中でも注目されているのが「ステーブルコイン」と呼ばれるカテゴリーです。ステーブルコインは法定通貨に裏付けられ、一般的な暗号資産と比べて価格が安定しています。安定した価値を持つことで日常的な決済に利用しやすく、送金手数料が安い、取引が瞬時に完結する、プログラム可能で自動化された送金もできるなどの利点があります。さらに、ブロックチェーンに記録された取引履歴が改ざんできないため、透明性が高い点も特徴です。
日本国内では、新たな法律に基づいて信託方式や預金債権方式といった2つのモデルでステーブルコイン発行が認められました。信託方式は発行企業が発行益を受け取りつつ銀行に資金を預け、預金債権方式は銀行が直接ステーブルコインを発行する仕組みです。北國銀行が発行した地域通貨「トチカ」などが具体例として挙げられます。
ステーブルコインが普及すると、将来的に中央銀行が発行するデジタル円(CBDC)導入への橋渡しになるとの指摘もあります。海外では中国の「デジタル人民元」など中央銀行デジタル通貨が実用化されつつあり、日本でも2028年頃の本格導入を目指して実証実験が進められています。デジタル通貨は利便性を高める一方、すべての取引が記録されるため政府による監視が強化される可能性があり、根本さんは「ディストピアも想定しておくべき」と警鐘を鳴らしていました。
◼︎3 ステーブルコイン利用のメリットとリスク
ステーブルコインのメリットは前述のとおり、瞬時の送金や低手数料、プログラムによる自動送金、そして高い透明性です。これにより、企業の資金繰りやサプライチェーン管理が効率化し、海外送金のコストも大幅に削減できる可能性があります。
一方で、すべての取引履歴がブロックチェーンに残るため、税務署や当局に容易に把握されるリスクもあります。CARFによる国際的な情報交換制度が本格化すれば、海外に資産を移すことで課税を回避することも難しくなるでしょう。また、円に価値が連動するステーブルコインやデジタル円が普及すれば、資金洗浄や裏取引に利用される心配は減りますが、個人のプライバシーが監視される度合いも高まるという二面性があります。根本さんは、利便性と監視強化の両方を理解したうえで、適切に活用することが重要だと話していました。
新時代の節税のためにできること
第1夜・第2夜のブログでも触れましたが、節税で最も大切なのは「コミュニケーションと知識」です。第3夜のテーマからも、税務環境が日々変化していることがわかります。
⚫︎情報収集とアップデート
マイナンバーやデジタル通貨に関する制度がどう変わっているか、日々のニュースを確認することが重要です。国税のAI活用により調査が絞られる今こそ、正確な申告と記録管理が求められます。AIで選定された調査対象は追徴税額が高額になる傾向があるため、基本的な税務処理を疎かにしないことが最善の防衛策です。
⚫︎暗号資産やデジタル通貨の理解
ステーブルコインやデジタル円は、企業活動に新たな選択肢をもたらします。瞬時の送金やプログラム可能な支払いなど魅力的な機能がある一方、取引履歴が完全に追跡されることも理解しておきましょう。暗号資産に投資する際は、税務申告のルールや報告義務も含め、自社や自分に最適な方法を専門家と相談すると安心です。
⚫︎税務署との建設的な関係
デジタル時代の税務調査はデータ分析が中心となり、過度な節税策や安易な隠し財産はすぐに発見されます。根本さんが強調する通り、節税は納税者の権利であり、法律に則ったうえで自分の事業に最適な方法を選択することが大切です。調査官と良好なコミュニケーションを築き、分からない点は税理士や専門家に相談することを忘れないでください。
⚫︎将来への備え
CARFの開始やデジタル円の導入など、今後数年間で税務環境はさらに変わります。第4夜では、長期的に安心できる節税と税金坊流の学び方が詳しく紹介されます。将来に向けた準備として、自社の資金管理や投資戦略を見直し、不安要素を減らしていきましょう。
セミナーへのご案内:アーカイブを無料受講
ここまで書いてきた記事をもっと具体的に掘り下げる「税金坊流節税セミナー」が本日10月1日(水)に開催されます。今回の4夜連続ライブの集大成として、理想の節税法を詳しく学ぶ機会を提供。必見の価値ありです!セミナーでは、下記のような内容が提供されます。
2. グレーゾーンの具体例とリスク評価方法
3. 調査官の本音に基づく交渉術
4. 成功した経営者が実践する長期的な資産防衛策
5. セミナー参加者限定で紹介する最新税制情報
税金坊の根本さんから、本ブログの読者限定で参加費2,980円が無料となる「参加費無料特別リンク」をプレゼントしていただきました。セミナーを通して根本さんの経験に基づく具体的なアドバイスを聞きながら、自社に合った節税戦略を見つけられる絶好の機会。ぜひご活用ください。
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次回予告:長期的に安心できる節税とは
第3夜までのブログで、税務調査の実態、危ない節税の見分け方、そしてデジタル化による税務環境の変化について順を追ってお伝えしてきました。いよいよ最終回となる第4夜では、税金坊の根本さんが考える「本当に役立つ理想の節税」をテーマに、長期的に安心して取り組める節税方法や、税務調査で必要なコミュニケーション術が紹介されます。4夜目は、経営者としての理想的なリスクマネジメントを学ぶ絶好の機会です。
ライブは既に終了していますが、根本さんのYouTubeチャンネルではアーカイブ動画を見ることができます。この記事で興味を持った方はぜひ動画をご覧ください。コメント欄では根本さんが質問にも答えており、オンラインでも学びを深めることができます。また、このシリーズの他の回もあわせて読むことで、節税への理解がより一層深まります。
第4夜に続きますので、どうぞお楽しみに。