2025/06/22

混ぜるな危険!デジタル弱者 × オンライン証券口座

最近はスマートフォンやパソコンから手軽に株や投資信託の売買ができる「オンライン証券」が当たり前になりました。しかし、もしデジタル機器の操作に自信がなく、サポートなしでは何もできない人がこうしたオンライン証券に手を出したら…それは大変危険なことかもしれません。実店舗のある証券会社(対面証券)とは異なり、オンライン証券では基本的に自分自身で全てを操作・判断しなければなりません。本記事では、その危険性について一般的な投資の視点から考えてみます。



デジタルに不慣れな人がネット証券を使うリスク

オンライン証券は手数料が安く便利ですが、その反面、すべて自己責任で行うリスクがあります。例えば、パソコンやスマホの基本操作がおぼつかず、常に誰かのサポートがないとログインや取引も難しいような場合、思わぬミスやトラブルにつながりかねません。パスワードの入力ミスでロックがかかったり、誤って注文を出してしまったり、あるいは詐欺メールに気づかずIDやパスワードを盗まれてしまう危険もあります。

たとえるなら、地図の読めない人が単独で登山に挑むようなものです。道に迷っても助けてくれるガイドはいませんし、危険な道に入り込んでも自己判断で対処しなければなりません。オンライン証券でも、困ったときにすぐ隣で教えてくれる店頭スタッフはいません。自分で正しい道(操作方法)を理解していないと、大切な資産を守れない可能性があります。

実際、一部の専門家からは「ITがあまり得意でないシニア世代の初心者は対面証券を利用する方が良い」との指摘もあります。手数料の安さに惹かれて安易にネット証券を選ぶと、かえって不利な状況に陥るケースもあるのです。ネット証券では投資家が孤独になりがちで、誰にも相談できず不安を抱えたまま判断しなければならないこともあります。一方、従来型の証券会社なら担当者に相談しながら進められるため、初心者には安心という面もあるでしょう。こうした点からも、デジタルに不慣れな人にはネット証券のハードルは高いと言えます。


急増する詐欺被害と多要素認証の必須化

最近、オンライン証券を巡る詐欺被害が深刻化しています。大手ネット証券の顧客口座が相次いで乗っ取られ、被害額はわずか5か月で5,000億円を超える規模に達しました。NHKの報道によれば、従来型のパスワード認証だけではもはや資産を守ることが難しいという実態が浮き彫りになっています。金融庁のまとめでも、2025年4月までに9社の証券会社で不正取引が合計3,505件確認され、勝手に売却された金額は約1,612億円に上ることが報告されています。犯人はメールやSMSで偽サイトに誘導しログインIDとパスワードを盗み取る手口を使っており、被害防止のため証券各社はログイン時の二段階認証やスマホ認証の利用を強く呼びかけている状況です。

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NTTドコモの店舗で案内されている「あんしん店頭サポート」 
デジタルに不慣れな利用者が安全に取引できるよう、店頭で多要素認証の設定をサポートする。

こうした背景を受け、証券各社はログイン時の多要素認証(2段階認証)を次々に“必須”へと変更しています。例えばマネックス証券では、これまで任意だった二段階認証の利用を2025年5月30日から全顧客に必須化しました。しかし「設定の仕方がわからない」「スマホの認証アプリなんて使ったことがない」というユーザーも少なくありません。そこでNTTドコモは、提携関係にあるマネックス証券のために店頭や電話で多要素認証の設定を手伝うサポートサービスを開始しました。このサービスは2025年6月18日から全国のドコモショップおよびコールセンターで提供されています。店頭でスタッフと対面しながら操作できる「あんしん店頭サポート」と、遠隔でオペレーターが誘導してくれる「あんしん遠隔サポート」などが用意され、デジタルに不安がある人でも多要素認証設定を済ませられるよう支援しています。

ドコモショップでのサポート開始は朗報ではありますが、裏を返せば「それほどまでに自力で設定できない利用者がいる」ことを示しています。多要素認証は、SMSに届くコードを入力したり、専用アプリでワンタイムパスワードを発行したりと多少複雑です。そこに手こずるレベルのITリテラシーしか持ち合わせていない場合、本来オンライン証券を使うのはかなりリスクが高いと言わざるを得ません。詐欺被害防止の最後の砦であるセキュリティ機能を自力で扱えないようでは、せっかく安価で便利なオンライン証券を開設しても思わぬ損失につながりかねないのです。実際に証券口座を狙ったフィッシング詐欺は現在も増加傾向にあり、ネット証券を利用するならば多要素認証の設定は必須と言える状況です。


緊急時に店舗頼みは通用しない?

オンライン証券を利用する上で忘れてはならないのが、マーケットの急変に即応できるかという点です。金融市場では〇〇ショックと呼ばれるような大暴落や急騰が時折発生します。例えばリーマン・ショック(2008年)やコロナ・ショック(2020年)のように、市場が短期間で大きく動揺した局面を思い出してください。こうした緊急時には、刻一刻と資産価値が変動するため迅速な判断と行動が求められます。オンライン証券であれば自宅からでも深夜でも、パソコンやスマホで即座に売買や資産移動の手続きができます。しかし、「自分では操作できないから」と店舗のスタッフやコールセンターに頼ろうとしても、肝心なときには対応が間に合わない可能性が高いのです。

実店舗の証券会社でも営業時間外の緊急対応は難しく、パニック相場の最中に担当者に電話が殺到すれば繋がらないことも考えられます。もしデジタルに不慣れなままネット証券に資金を入れていて、急落に直面したら…自分で対応できなければ、大切な資産が減っていくのを指をくわえて見ているしかないかもしれません。「困ったら誰かが助けてくれるだろう」という考えは、少なくとも投資の世界では通用しにくいのです。緊急時こそ自身で的確に操作できるスキルが求められる点を、ぜひ認識しておきましょう。


「学びながら投資する」姿勢のススメ

では、デジタルが苦手な人は投資を諦めるべきなのでしょうか?決してそんなことはありません。大切なのは「サポートに頼りきりではなく、自分で学びながら少しずつ慣れていく」という姿勢です。投資の世界は、最初から完璧な知識や技能を持っている人などいません。誰もが初心者からスタートし、経験を積む中で知識を深め、判断力を養っていきます。デジタル操作についても同じことが言えます。

金融リテラシー(お金の知識・判断力)を身につけるには実際に経験してみるのが一番効果的だと言われます。本やネットで勉強するのも良いですが、いくら頭で知識を入れても実践しなければ身につきません。例えば少額から投資を始めてみることは有効です。最初は失敗しても生活に支障のない範囲の小さな金額で、実際にオンライン証券の口座にログインし、簡単な取引を体験してみましょう。現在は投資信託などで少額から積み立て投資ができたり、1株数百円程度から買えるミニ株(単元未満株)もあります。自分のお金を動かしてみると、それまで他人事だった経済ニュースにも自然と関心が向き、学びが深まります。

重要なのは、失敗を恐れすぎないことです。最初は誰でもうまくいかないものですし、小さなミスから多くを学べます。「完璧に理解してからでないと一歩踏み出せない…」と思っていると、いつまで経っても始められません。それよりも、小さな成功体験と失敗体験を積み重ねながら、徐々にスキルアップしていくことが大切です。デジタル操作に関しても、最初は戸惑うことがあっても回数を重ねるごとに慣れていくでしょう。「学びながら投資する」姿勢を持てば、デジタルへの苦手意識も次第に薄れ、自信を持ってオンライン証券を使いこなせるようになるはずです。


オンライン証券を安全に使いこなすための最低限のITリテラシー

最後に、オンライン証券を利用する上で最低限押さえておきたいITリテラシー(デジタルの基礎知識・技能)について整理しておきます。以下のポイントは、デジタルに不慣れな方でも必ず確認・習得してから投資を始めることをおすすめします。

①セキュリティの基本を理解する
パスワードは他人に教えない・使い回さないことはもちろん、必ず多要素認証(2段階認証)を設定しましょう。また、証券会社を装ったメールやSMSに安易に反応しないよう注意し、公式アプリや正規サイトからログインする習慣をつけます。フィッシング詐欺の手口は年々巧妙化していますので、「自分は大丈夫」と過信せず最新の注意喚起情報にも目を通してください。

②基本的なPC・スマホ操作
オンライン証券ではスマホアプリやパソコンのWebサイトを使います。アプリのインストール方法、定期的なアップデートの仕方、メールの確認など、日常的なIT操作に慣れておきましょう。特に、スマホ認証アプリやSMSでの確認コード入力などは、オンライン証券以外でも経験しておくと安心です。分からないことがあれば、お子さんや身近な詳しい方に教わったり、証券会社のサポートデスクに問い合わせて解決しておきましょう。

③証券会社の画面操作に習熟する
実際の取引画面で何をどう操作すれば注文が出せるのか、ログインから注文確定までの一連の流れをシミュレーションしておきます。多くのネット証券では、初心者向けに操作マニュアルや動画チュートリアルを提供しています。それらを活用し、余裕のある平時に少額取引で操作を試してみることが大事です。本番さながらのデモ取引ができるツールが用意されている会社もありますので、積極的に利用してみましょう。

④情報収集と判断力
オンラインで投資を行うということは、良くも悪くも自分で情報収集して判断する自由度が高いということです。銘柄選びや売買タイミングについても、店頭のように誰かがアドバイスしてくれるわけではありません。日頃から経済ニュースや企業情報に目を通し、市場全体の動きを掴む習慣を持ちましょう。最初は難しく感じるかもしれませんが、続けるうちに「株価がなぜ上がったのか」「このニュースは自分の資産にどう影響しそうか」といったことが少しずつ見えてきます。自分で学び考える力は、オンライン証券を活用する投資家にとって何にも代えがたい武器になります。


以上のポイントを踏まえて準備すれば、オンライン証券を利用するハードルはぐっと下がるはずです。逆に言えば、これらが全く分からない・できない状態で投資を始めてしまうと、「危ない橋」を渡るようなものです。くれぐれも焦らず、基礎を固めてから本格的な運用に臨んでください。


安心して資産運用を行うために

デジタルに不慣れな人がオンライン証券の口座を持つことは、一見するとハードルが高く危険も伴います。しかし、だからといってデジタルが苦手な人に投資のチャンスがないわけではありません。大事なのは、無理をせず自分のペースでデジタルスキルと投資知識を身につけていくことです。周りのサポートを上手に借りつつも、「最後は自分で判断し行動する」という意識を常に持っておきましょう。

投資は自己責任の世界ですが、それは裏を返せば自分次第で資産を守り増やせる自由度の高い世界でもあります。せっかく勇気を出して資産運用を始めるのであれば、不安を一つ一つ潰しながら前向きに取り組んでみてください。本記事の内容が、その一助となれば幸いです。デジタルが苦手な方も、学びと工夫次第で安全に資産運用を楽しめるよう応援しています。一緒に少しずつステップアップしていきましょう。


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