2025/10/03

もし資産税が始まったら?CBDC導入から私たちの資産を守る方法

はじめに:お金のデジタル化と税金の不安

ここ数年で、電子マネーやQRコード決済がすっかり身近になりました。お店で財布を開かなくても買い物ができる便利さに、「キャッシュレスっていいな」と感じている方も多いはずです。その流れの延長線にあるのが、中央銀行デジタル通貨(CBDC)やステーブルコインと呼ばれる新しいお金の形。ニュースやSNSで耳にしたことはあっても、「それって私たちの生活にどんな影響があるの?」と不安に思う方も少なくないでしょう。

実は、デジタルマネーの普及は私たちの資産管理に大きな変化をもたらします。便利な反面、すべての取引がデータとして残るので、税務当局はお金の動きを詳細に把握できるようになります。紙幣や硬貨のように匿名性が高い現金と違って、誰がいつどこで何を買ったかが明らかになるため、資産税や新しい形の課税が導入されやすくなるのです。

最近は、新型コロナウイルスやエネルギー価格の高騰などで各国の財政支出が増えています。その穴埋めのために、富裕層や企業に対する課税強化の議論が広がっており、デジタルマネーの透明性が「税金を取りやすい仕組み」として注目され始めました。つまり、便利なデジタル通貨が増えるほど、貯金や投資にまで広く課税が及ぶ可能性が高まっているのです。

今回は、そんなデジタル時代の資産課税リスクを一緒に見ていきましょう。



CBDCはなぜ資産課税と相性が良いの?

CBDCは、各国の中央銀行が発行するデジタル版の法定通貨です。日本でも2025年5月のパイロット実験報告書が公開され、プライバシー保護を意識した設計が検討されていることが明らかになりました。たとえば日本銀行は「顧客管理システム」と「台帳管理システム」を分けて、個人情報を直接中央の台帳に保存しない仕組みを目指しています。ただし、いくら仕組みが慎重に作られても、「取引データはすべて記録される」という点は変わりません。そこが資産課税のベースになりやすい理由です。

海外の研究者も「CBDCが広く使われるようになると、口座番号と税番号を紐づけることができ、誰の収入や資産がどのくらいか簡単にわかるようになる」と指摘しています。しかもデジタル台帳はプログラム可能なので、1件1件の取引から税額を自動計算するアルゴリズムを組み込むことも技術的には可能だと言われています。さらに、マネーロンダリング対策(AML)や顧客確認(KYC)機能を内蔵すれば、怪しい取引を検知して即座に口座を凍結したり、税金を引き落としたりすることもできると専門家は述べています。

国際通貨制度の議論でも、BIS(国際決済銀行)のカルステンス総裁が「中央銀行はデジタル通貨の使い道に関するルールを絶対的にコントロールできる」と発言し、プライバシーや資産の自由度への懸念が高まっています。この記事では、「CBDCは便利だけど、国家が財布の中身を全て見られるようになるかもしれない」という現実を、難しくなりすぎないようにお伝えしていきます。

ステーブルコインと税金:名前に惑わされないで

ステーブルコインは、円やドルなどの法定通貨と価値を連動させた暗号資産で、価格が安定していることから「安定通貨」とも呼ばれています。値動きが小さいので使いやすい反面、「税金がかからない」と思われがちですが、実際はそうではありません。たとえば、ステーブルコインでNFTや他の暗号資産を買い、それを売却して利益が出れば、その差額は雑所得として課税されます。DeFiに預けて利息を受け取ったり、キャッシュバックなどの特典をもらった場合も同じです。

さらに、円建てのステーブルコインを単に買って売るだけなら利益は出ませんが、外貨建てのステーブルコインや他の暗号資産に交換すると為替差益が発生し、その分も雑所得として合算されます。つまり、「ステーブル」という名前に惑わされず、暗号資産としての扱いを理解しておくことが大切です。これを知らずに使ってしまうと、思いがけない税金に驚くかもしれません。

デジタル円と日本の動き:どこまで透明になるの?

日本銀行はここ数年、CBDCの概念実証やパイロット実験を進めています。報告書によると、利用者情報と取引記録を分離することでプライバシー保護を強化しようとしています。ただし、AMLやテロ資金供与対策といった公共の目的を果たすためには完全な匿名性は難しく、最終的には取引履歴と身元情報がどこかで結びつくことになります。しかも、日本ではマイナンバーと銀行口座の紐付けが進みつつあり、デジタル円が導入されれば収入や資産の透明化がさらに進むことが予想されます。

一方で、欧米ではCBDCに対する慎重論も強まっています。アメリカでは一部の議員が「政府が個人の支出や資産を監視し、プログラム課税を実施する危険がある」としてCBDCに反対する法案を出しました。こうした海外の議論は、日本でもデジタル円を考えるうえで参考になるでしょう。「技術は便利。でも本当に信頼して良いの?」という視点を忘れずに持ちたいところです。

世界の資産課税とその教訓:逃げ道とリスクの両方を見る

資産課税の歴史は日本だけの問題ではありません。ヨーロッパのフランスやスペインでは、一度「富裕税」と呼ばれる資産税を導入したものの、課税逃れや資本の海外流出が起きたため廃止に追い込まれました。北欧の国々も、投資や起業を促すために資産税を取りやめ、所得税や消費税でバランスを取っています。これらの教訓からわかるのは、「税率が高すぎると資本が海外に逃げてしまい、雇用や税収が逆に減ってしまうことがある」という現実です。

逆に、南米のコロンビアやアルゼンチンのように、財政危機やハイパーインフレに直面した国々では、政府が突然銀行預金を差し押さえたり、新しい資産税を導入したりした例もあります。国家財政が厳しくなると、「お金があるところから徴収する」動きが一気に強まるという点は覚えておきたいところです。CBDCが普及すれば、政府はテクノロジーを使って資産を簡単に把握し、徴税を自動化できるようになります。だからこそ、国際的な事例から良いところも悪いところも学び、自分の資産を守る準備を進めることが重要です。

CBDC時代の資産課税シミュレーション:もし導入されたら?

では、実際にCBDCが普及し、資産保有税が導入されたらどうなるのでしょうか。ここでは、いくつかの資産カテゴリーごとに影響をシミュレーションしてみます。あくまで仮定のお話ですが、自分の状況に当てはめて考えるヒントにしてください。

▪️デジタル預金(CBDC口座)
CBDC口座は国が直接管理する預金口座です。現金の代わりに給料や支払いがすべてCBDCで行われるようになれば、口座残高も取引履歴も常に政府の目に触れることになります。たとえば、年間残高が1,000万円を超えたら1%の資産税が自動徴収される、といった仕組みも技術的には簡単に実現できます。普段から大きな金額を口座に残している人ほど、課税の対象になりやすくなるでしょう。

▪️銀行預金・証券口座
従来の銀行預金や証券口座も、マイナンバーやCBDCと連携すれば、個人の資産状況をほぼ完全に把握できるようになります。これまで税務署が調べるのが難しかった部分も、デジタル化によって一元管理されるため、高額の預金や株式を持っている人への資産税が現実味を帯びてきます。EY(世界4大会計事務所の1つ)のレポートが指摘するように、プログラム課税によって一定額を超える預金に自動で税金をかけることも可能になるでしょう。

▪️不動産
不動産には既に固定資産税がありますが、資産税が強化されれば別荘や使っていない土地への課税がより重くなる可能性があります。CBDCと不動産登記が連携すれば、所有者や資産価値を瞬時に把握できるため、利用価値の低い物件が狙われやすくなるかもしれません。「土地や家を持っているだけで税金を払わなければならない」という状況が加速する可能性があるのです。

▪️暗号資産・ステーブルコイン
暗号資産やステーブルコインは既に雑所得や譲渡所得として課税対象になっています。特に、ステーブルコインから他の暗号資産に交換して利益が出れば、それはそのまま課税対象になります。CBDCが普及すると、暗号資産への資金流入を抑えるために税制がさらに強化される可能性もあります。たとえば、取引ごとに自動で税金が差し引かれる仕組みが導入されれば、手元に残る利益が減ってしまうので、投資スタイルの見直しが必要になるかもしれません。

▪️実物資産(ゴールド・貴金属)
ゴールドやシルバーといった実物資産は、自分で保管できるためデジタル台帳に記録されにくいという特徴があります。CBDCが広がり、デジタルマネーの取引が完全に監視されるようになるほど、こうした実物資産の価値は相対的に上がると考えられます。もちろん、保管の手間や価格変動リスクはありますが、資産税が導入された場合の「逃げ場」として持っておく価値は大きいでしょう。


プログラム課税とは?便利さと不安の裏表

シミュレーションで触れたように、CBDCはプログラム可能なお金です。これは「税金の計算や徴収を自動化できる」というメリットがある一方で、「誰かがルールを書き換えれば、私たちのお金の動きを細かく制限できる」というリスクもあります。EYのレポートでは、CBDCとスマートコントラクトを組み合わせることで、地域や所得階層に応じた税率の変更や、特定の支出に対する税控除を自動で適用できると解説されています。

たとえば、環境に優しい商品を買えば税金が還付される一方で、贅沢品や投機的な資産には追加課税がされる、といったことがプログラムで簡単に行えるのです。前述のように、カルステンス総裁は「中央銀行がデジタル通貨の使い道に関するルールを完全にコントロールできる」と述べていますが、これは言い換えると「国が私たちのお金の使い方を管理できる」可能性を示しています。

日常生活でも「口座残高が一定額を超えると自動で資産税が引かれる」「ステーブルコインを外貨に替えたとたんに税金が計算されて差し引かれる」といったシナリオが考えられます。便利な反面、ルールが複雑化すると利用者が把握しきれなくなる点も不安材料です。「どのくらいの額から課税されるの?」「どこまで監視されているの?」という疑問に答えられるよう、仕組みを理解し、自分の資産運用にどう影響するか想像力を働かせることが大切です。

実践的な対策:賢く資産を守るために

ここまで読んで、「なんだか怖いな」と感じた方もいるかもしれません。ですが、知っておくことで準備はできます。デジタル通貨と資産税に備える基本的な対策をいくつか紹介します。

⚫︎デジタル預金や株式の比率を抑える
CBDCや証券口座に資産を集中させると課税対象になりやすいので、必要な生活費や投資資金だけを残し、残りは別の資産に分散しましょう。

⚫︎収益を生む不動産だけを残す
住居や賃貸物件など生活や事業に直結するものは維持し、使用しない土地や建物は早めに見直します。遊休資産が重税の対象になる可能性があるからです。

⚫︎ゴールドや貴金属を保有する
資産の20~30%ほどを地金型金貨などの実物資産にしておくと、デジタル資産が課税される際の防波堤になります。戦後の預金封鎖でも金貨が価値を守ったと言われています。

⚫︎海外資産や外貨建て資産に分散する
日本国内の資産だけに頼らず、米国株式や海外不動産、外貨建てETFなどを組み合わせることでリスクを分散できます。ただし、各国の税制や規制を確認しておくことが必要です。

⚫︎常に情報をアップデートする
税制や金融政策は変化が速いので、ニュースや専門家の情報を定期的にチェックしましょう。制度改正の兆しが見えたら、ポートフォリオを柔軟に調整することが大切です。

ケーススタディ:こんなポートフォリオ例

最後に、資産税が導入された世界を想定したポートフォリオの一例を紹介します。これはあくまで目安であり、あなた自身の生活スタイルやリスク許容度に合わせて調整してください。

⚫︎現金・CBDC預金:15%
日々の生活費や緊急の出費用。必要以上に残高を置かないようにします。

⚫︎株式・ETF:35%
長期的な資産形成を目指します。ただし、課税リスクがあるので銘柄や地域を分散します。

⚫︎不動産:10%
収益を生む物件に絞り、使っていない不動産は減らすか、海外物件への投資を検討します。

⚫︎ゴールド・貴金属:30%
課税や監視を受けにくい実物資産で資産を守ります。保管場所にも気を配りましょう。

⚫︎海外資産・外貨建て商品:10%
米ドル建てETFや海外債券などで通貨分散を図ります。

この配分では、デジタル資産と実物資産を半々くらいに分け、資産税の影響を減らすことを目指しています。ただし、ゴールドや為替相場の変動リスクもあるので、定期的に見直すことが大切です。

おわりに:知ることで備えよう

CBDCやステーブルコインの登場によって、お金はますますデジタル化し、便利になるでしょう。その一方で、資産が丸裸になり、課税や資金凍結のリスクも高まります。特に、CBDCが普及すれば取引履歴と個人情報が紐づけられ、税務当局が資産を簡単に把握できる環境が整います。だからこそ、「デジタル資産」と「実物資産」をバランスよく持ち、法制度の変化に対応できるよう備えることが重要です。

この記事では、デジタル通貨と資産課税のリスクを解説し実践的な防衛策をご紹介しました。私自身も、以前は「銀行に預けておけば安心」と思っていましたが、世界の動きを知るうちに、ゴールドや海外資産への分散の大切さを感じるようになりました。大切なのは、怖がることではなく、今できることから少しずつ備えること。家族や友人とも情報を共有し、みんなで安心できる資産づくりを進めていきましょう。

よくある質問:資産税に関する疑問

Q1: 資産課税ってすぐに始まるの?
現時点では、日本で資産保有税が導入されるという具体的な決定はありません。ただ、社会保障費の増大や格差是正の議論から、いつ導入されてもおかしくないという専門家もいます。CBDCが普及すれば、技術的にはいつでも実施できるため、法案や議論の動きをこまめにチェックしておくと安心です。

Q2: 暗号資産やステーブルコインを持っていたら全部課税されるの?
暗号資産は、値上がり益や配当、利息を得た場合に課税対象になります。ステーブルコインは名前の通り価格が安定していますが、他の暗号資産との交換で利益が出れば税金がかかります。保有しているだけで課税されるわけではありませんが、売買や交換のタイミングで利益を計算し、申告する必要があります。

今後の展望と心構え:未来をポジティブに捉える
資産課税の議論は、格差是正や環境対策など、社会の価値観の変化とともに姿を変え続けます。CBDCとプログラム課税が組み合わされれば、家計や企業活動に対して細かなインセンティブを設定することができるようになるかもしれません。その一方で、政治的な思惑によってルールが変わるリスクもゼロではありません。だからこそ、制度の仕組みを理解し、自分の資産状況を常に確認する習慣を身につけましょう。また、家族や仲間と意見を交換しながら、より良い選択を探ることも大切です。暗いニュースが目につく時代ですが、前向きに学び、行動することで、未来への不安は小さくできるはずです。

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