2025/11/18

サイバー空間で世界戦争?国民全員で高めるべきITリテラシーとは

見えないサイバー戦場と国立国会図書館事件

2025年11月、私たちの身近で「目に見えない戦争」とも言える事件が起きました。国立国会図書館の館内システム開発を委託されていた業者がサイバー攻撃を受け、開発環境内で利用者ID約1,000件とコピーサービス利用情報約4万件(氏名含む)が流出した可能性が報告されています。幸い図書館の既存サービスへの直接的な影響は確認されていませんが、このニュースは大きく報じられ、社会に衝撃を与えました。

実は今、インターネット空間は国家の生命線を握る新たな「戦場」として意識され始めています。サイバー空間は陸・海・空・宇宙に次ぐ「第五の戦場」とも呼ばれ、国家同士や集団による見えない攻防が日々繰り広げられているのです。つまり、目に見えないサイバーの世界で世界戦争が起きているといっても過言ではありません。国立国会図書館への攻撃も、そのサイバー戦争の一端が日本に及んだものと言えるでしょう。私たち一人ひとりも他人事ではなく、この見えない戦いに関心を持つ必要がありそうです。



日本のAI活用の遅れとITリテラシーの現状

ところが、日本ではこうしたITやAIへの関心や活用がまだまだ低いのが現状です。たとえば生成AI(ChatGPTなど)の個人利用率を見ると、総務省の「情報通信白書2025」等によれば日本はわずか26.7%にとどまります。これは中国の81%、米国の69%、ドイツの59%と比べても著しく低く、主要国の中で最も遅れています。日常的にChatGPTを使っている人の割合も日本では1%しかおらず、米国の7%と大きな開きがあります。この数字からも、日本人の多くがAIを「知ってはいるけれど使っていない」状況が浮き彫りです。

企業レベルでも状況は似ています。AIを積極的に活用する方針を持つ日本企業は15.7%に過ぎず、中国企業の71.2%と比べると極めて低い水準です。メール作成や議事録の要約など、導入しやすい業務でさえ生成AIを利用中または試行中の日本企業は約46.8%に留まり、米国・ドイツ・中国では約90%に達しています。この背景には、技術的な課題以上に「今のやり方を変えたくない」という意識やデジタルリテラシー(ITに関する基礎的な知識や活用力)の不足が根底にあるのではないかと指摘されています。要するに、日本はG7の中でもIT・AI活用が低水準で、国全体としてデジタルに対する意識改革が遅れていると言えるでしょう。


ITリテラシー欠如が招く個人と国家のリスク

しかし、ITリテラシー(ITを正しく理解し使いこなす力)が低いままでいることは、実は私たち個人にも国家にも大きなリスクをもたらします。まず個人の面では、サイバー犯罪の被害に遭う危険性が高まります。事実、フィッシング詐欺(偽メールなどによる詐欺)の被害額は年々拡大し、2023年には過去最悪の541億円に達しました。ネットトラブルに関する相談も急増しています。多くの人が「自分は騙されない」と過信していたり、忙しさのあまり十分注意を払えなかったりする現状も指摘されています。こうした油断や無関心が、知らないうちに自分の資産や個人情報を危険にさらす原因になりかねません。

さらに深刻なのは、日本全体がサイバー攻撃の的になりつつあることです。米国の調査会社Proofpointによれば、2024年末から日本を標的にした悪質なメール攻撃が爆発的に増加し、今や「世界で最もメール攻撃を受けている国は日本」だというのです。2025年には全世界の新種メール攻撃のうち実に8割以上が日本向けだった月もあり、その中でもフィッシング詐欺メールが多くを占めています。その背景の一つとして、生成AIの発達で言語の壁が低くなり、日本語でも自然な詐欺メールが容易に作れるようになったことが挙げられています。以前なら不自然な日本語で気付けた詐欺メールも、今では見分けがつかないほど巧妙になりました。「日本語が変だから怪しい」という従来の勘に頼った判断が通用しなくなり、かえって「ちゃんとした日本語だから本物かも」と信じてしまう人も出てきています。これは、日本人のITリテラシー不足につけ込まれている状況とも言えるでしょう。

国家規模でも油断は禁物です。サイバー攻撃は企業や個人だけでなく、政府機関や社会インフラさえ標的にします。2007年にエストニアで起きた大規模サイバー攻撃では、政府機関やメディア、銀行までもが同時に機能不全に陥り、国全体が混乱に陥りました。サイバー空間での紛争が現実社会を麻痺させたこの事件は、世界中にサイバー戦争の恐ろしさを知らしめる警鐘となりました。日本も例外ではなく、冒頭で触れた国会図書館の事例のように、公的機関が狙われるケースが現に起きています。ITリテラシーの欠如は国家の安全保障上も重大なリスクとなり得るのです。サイバー攻撃から国や社会を守るには、政府や企業のセキュリティ強化はもちろん、国民一人ひとりの意識向上と基本的なIT知識の底上げが欠かせません。


明るい未来への展望:AIを味方に、今こそ行動を

こうした現状に対し、日本でも少しずつ意識改革の動きが出てきています。2025年夏、ソフトバンクグループの孫正義氏は自社イベントの特別講演で、「AIを使わない人や企業は自ら進化を否定している」とまで語り、AI活用に消極的な風潮に強い危機感を示しました。また孫氏は社内で大規模にAIエージェントを導入し、社員一人ひとりがまるで千手観音のように多くの業務を同時にこなせるようにする計画を明かしています。疲れを知らないAIが人間の代わりに24時間働き、業務効率を飛躍的に高める、そんな未来図です。講演では、生成AIサービス「ChatGPT」を開発した米国OpenAI社のサム・アルトマン氏ともビデオ対談を行い、AIの未来像や安全性について意見を交わしました。孫氏のメッセージは明快です。「AIは脅威ではなく、使いこなせば一人ひとりの力を何倍にも拡張してくれる希望のツールだ」ということです。

このように日本を代表する経営者が声を上げ始めたことは、大きな追い風と言えるでしょう。AIやITを積極的に活用する姿勢を肯定し、正しく怖れつつ受け入れていくことが、これからの日本にとって非常に重要です。AIにはリスクもありますが、それ以上に私たちの生活やビジネスを革新し、便利にしてくれる可能性があります。たとえば日々の業務の自動化、情報収集や分析の高度化、さらには金融取引の効率化など、AIを上手に使えば時間と労力を節約し、新しい価値を生み出すことができるでしょう。ITリテラシーとAIリテラシーを身につけることは、自分自身を時代の波に乗せ、チャンスを掴むための第一歩です。


最後に

最後に、本記事をお読みの皆さんへ。サイバー空間で起きている世界的な潮流に、私たち投資家も乗り遅れてはなりません。幸い、難しいプログラミング知識がなくても使えるAIツールがどんどん登場しています。まずは興味を持ち、身近なところからIT・AIリテラシーを高めてみませんか。

ニュースでサイバー攻撃の話題をチェックしたり、新しいAIアプリを試してみたり、小さな一歩で構いません。たとえば、金融や経済の情報収集にAIを活用すれば、市場の動きを把握しやすくなり、伝統的な金(GOLD)への投資判断にも役立つかもしれません。テクノロジーへの理解を深めることは、資産を守り増やす上でも大きな武器になります。

見えないサイバー戦争の時代だからこそ、私たち国民総出でITリテラシーとAIリテラシーを向上させ、安全・安心で明るい未来を築いていきましょう。そして投資家としてもこの潮流をチャンスと捉え、日々アンテナを高く張ってテクノロジーの進化を味方につけてください。今この瞬間からの意識改革が、5年後10年後の大きな差につながるのです。


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