2025/11/07

メタプラネット株80%急落!ビットコイン投資モデルの限界と今後の行方

熱狂から一転、株価80%下落の衝撃

最近、ある企業の株価がピークから4カ月で8割近くも下落したニュースが投資家の間で話題になりました。その企業とは、暗号資産(仮想通貨)ビットコインの大量保有を財務戦略に掲げるメタプラネットです。2025年6月に株価が急騰して時価総額が初めて1兆円を超えましたが、その後は下げに転じ、10月中旬には初めてmNAV(後述)が1倍を割り込み、一時0.88倍まで低下しました。株価はピークから約4カ月で8割近くも急落し、多くの個人投資家が大きな損失を抱えています。SNS上でも「信じて歯ぁ食いしばってんだよ…」といった悲痛な声が上がり、ビットコインそのものを持つよりメタプラネット株を持つ方がリスクが高いとの見方さえ広がりました。一体、何が起きているのでしょうか?



mNAV(市場純資産価値)1倍割れが意味するもの

メタプラネットの話題で出てくるmNAVとは何でしょうか?mNAVはmultiple of Net Asset Value(市場純資産価値)の略で、企業の時価総額をその企業が保有するビットコインなど暗号資産の価値で割って算出する指標です。イメージとしては、株式投資でおなじみのPBR(株価純資産倍率)のビットコイン版ともいわれています。たとえばmNAVが2倍なら「保有ビットコインの価値の2倍の評価を市場がその企業に与えている」状態です。

ではmNAV1倍割れとは何を意味するのでしょうか?これは文字通り、市場評価が保有ビットコインの価値にも満たない状態を指します。言い換えれば、市場がビットコイン以外の事業価値や将来性を全く評価しておらず、リスクへの懸念から企業価値が著しく割安に見なされている状況です。実際、メタプラネットのmNAVは今年6月には約8倍もありましたが、その後の株価下落で10月中旬に初めて1倍を下回りました。一時0.88倍まで低下した後も11月上旬時点で0.98倍と、依然として1倍前後の低水準にとどまっています。これは企業としての付加価値が評価されていないどころか、マーケットから疑念を突きつけられている状態です。

さらに深刻なのは、mNAV1倍割れによって同社のビジネスモデルが機能不全に陥るリスクです。mNAVが1倍を下回る局面では新たな資金調達が難しくなり、株価にプレミアム(上乗せ)がないために新株を発行しても十分な資金を集められず、ビットコインの追加購入が困難になります。メタプラネットはこれまで株価が高い時に新株発行で資金を調達し、その資金でビットコインを買い増す——という戦略を取ってきました。しかし株価下落によって調達サイクルが止まれば、同社の掲げる「1株当たり保有ビットコイン数の最大化」という目標も行き詰まってしまいます。


好循環から一転、資金繰りの壁に直面

メタプラネットは2024年4月にビットコインの大量購入を開始し、約4,900億円を投じて3万枚以上のビットコインを保有するまでになりました(直近価格で約5,000億円相当)。この大胆な戦略により、株価の上昇局面では多額の資金を市場から調達し、多くのビットコインを買い増せました。ビットコイン保有枚数が増えれば1株あたりのビットコイン価値も上がり、さらに株価が上がる。そんな好循環が起きていたのです。

しかし、2025年6月の最高値を境に状況は一変します。株価が下落に転じると、今度は発行済み株式数の増加(希薄化)が株価の下落圧力となり、資金調達がかえって難しくなる悪循環に陥りました。実際、転換社債(CB)の株式転換が進んだことで発行株数が増え、投資マネーが一気に逆回転を始めたと指摘されています。こうした急変に危機感を抱いたメタプラネットは、10月下旬になって初めて「mNAVが1倍を下回る局面では自社株買いを行う」と表明し、株価維持策に乗り出しました。同社はこれまで手元資金があればすべてビットコイン購入に充てており、自社株買いを行ったことはありませんでしたが、それを覆してでもmNAV1倍死守に動いたわけです。王生貴久CFO(最高財務責任者)も「mNAVが1倍以上であることは非常に重要であり、守らなくてはいけない」と強調しており、同社経営陣の危機感の強さが伝わってきます。


相次ぐ「ビットコイントレジャリー企業」の急落

メタプラネットだけが特別なのでしょうか?実はビットコインを大量保有する企業は海外にも存在し、その代表格が米国のMicroStrategy(マイクロストラテジー)社です。

MicroStrategyは世界最大のビットコイン保有企業として知られますが、その株価も2024年11月の最高値から現在までに約5割下落しています。今年4月時点で2倍程度あったmNAVは直近では約1.2倍まで低下しました。市場がようやく異常さに気づき始めた兆しと言えるかもしれません。実際、ノルウェーの調査会社K33リサーチによれば、2025年9月時点でビットコインに投資する上場企業の4社に1社がmNAV1倍割れだったというデータもあります。つまり、メタプラネットのケースは決して孤立した例ではなく、ビットコイン頼みの財務モデルの限界が各所で露呈し始めているのです。

日本国内でも似たような現象が見られます。2024年9月に暗号資産投資を打ち出したリミックスポイントの株価は、翌2025年1月には投資開始時の約4倍となる700円台に急騰しましたが、その後下落し足元では300円程度にとどまります。また、2025年度からビットコイン購入を始めたANAPホールディングスも、7月のピーク(約1,800円)から株価が約7割下落しています。これらはまさに、“ビットコインを持っていれば株価も上がる”という楽観的な期待がしぼんだことを物語っているでしょう。


本業に価値を生む企業への回帰を

こうした事例が相次ぐ今、暗号資産頼みのビジネスモデルの異常さと限界が浮き彫りになっています。日本経済新聞も「仮想通貨投資以外の本業があればそこに企業価値は宿る」と指摘しています。裏を返せば、本業で稼ぐ力がない“ビットコイントレジャリー企業”に持続的な企業価値を見出すことは難しいということです。結局、企業価値の源泉は社会に価値をもたらす本業の収益力や成長性にあります。ビットコイン価格の上昇による含み益だけで永遠に株価を支え続けることはできません。

もし皆さんの中に、「ビットコインを大量に持っているからこの会社の株は上がるはず!」というSNSや話題性に乗って投資をしてしまった初心者の方がいれば、今一度ポートフォリオを見直してみませんか?その企業はビットコイン以外にどんな価値を生み出しているのか、長期的に成長できるビジネスモデルがあるのか——投資先を選ぶ基本に立ち返って考えてみることが重要です。通勤時間のちょっとした空き時間にでも、ぜひ以下のポイントをチェックしてみてください。

⚫︎企業の本業に収益力・成長性はあるか?
ビットコイン頼みではなく、本業で安定して稼げるビジネスモデルを持っているか確認しましょう。

⚫︎財務戦略は健全か?
過度な新株発行や借入に頼らず、持続的に成長を支える資金調達策を持っている企業か見極めましょう。

⚫︎長期的なビジョンは明確か
一時的なブームに左右されず、将来にわたって事業拡大できる明確な戦略やビジョンを示しているか注目しましょう。

地道に本業で利益を積み上げ、社会に新たな価値を提供し続ける企業こそが、長い目で見て投資家に報いてくれる存在です。華々しい暗号資産の話題に飛びつく前に、企業の中身と将来性をじっくり見極める。そんな基本に立ち返ることが、これからの投資で失敗を避ける大切な心得ではないでしょうか。長期的に安心して応援できる企業に投資し、健全なポートフォリオを築いていきたいですね。


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