2025/06/17

債券神話の終焉 〜4,500ドル突破 / ゴールドマンサックスの助言〜

私はこれまで「株式が下落しても債券がカバーしてくれるから安全だ」と信じ、いわゆる60/40ポートフォリオ(株式60%・債券40%)に安心感を持っていました。しかし最近、市場の常識が揺らいでいる現実に驚かされています。ゴールドマン・サックスが指摘したように、もはや債券は株式急落時の頼れるクッションではなくなりつつあります。本記事では、この「債券神話の終焉」とも言うべき状況を解説し、代替資産として浮上する金(GOLD)や原油への注目、そして新しい時代の資産防衛策について考えてみます。



債券の安全資産神話が崩壊する理由

かつて債券は「安全資産の代表格」とされ、株式が下落する局面では資金の逃避先となってポートフォリオを安定させる役割を担ってきました。ところが近年、この前提が大きく崩れつつあります。実際、長期国債が株価下落時に期待されたクッション機能を果たせず、利回りが急騰する場面が相次ぎました。ゴールドマン・サックスも「投資家は株式と債券のポートフォリオを守る新たな手段を模索している」と報告しています。

この傾向は数字にも表れています。例えば2022年には、株60%・債券40%の伝統的ポートフォリオが約17%もの大幅なマイナスを記録しました。10年ぶりの大幅下落となり、多くの投資家が「債券さえ持っていれば安心」という神話から目を覚まさせられたのです。ブラックロックの調査も、「債券と株式の相関が高まり、もはや従来のような安定化機能を果たしていない」と指摘し、債券比率の見直しを提言しています。

私も以前は債券の安定性を信じていましたが、今の市場では「債券=安全」は通用しないと痛感しています。債券価格はインフレや金利上昇の影響を強く受け、株式と一緒に下落するリスクが高まっています。その結果、従来の黄金ルール(株と債券の分散でリスク低減)が揺らいでいるのです。


株式と債券が同時に下落する「ツインショック」とは

「ツインショック」とは、株式と債券が同時に下落する現象を指す造語です。通常は株式相場が不安定になると債券に資金が逃避し、片方が下がれば片方が上がる逆相関の関係が期待されます。しかし最近の市場では、株と債券が「同じ方向に動く」異例の状況が生じています。

この同時下落の背景にはいくつかの要因があります。

第一にインフレや商品価格ショックです。歴史的にも、高インフレ期やオイルショックのような局面では株と債券がそろって売られる傾向が知られています。インフレ下では債券の固定利息の価値が目減りするため、安全資産どころか売り込まれる対象になってしまうのです。

第二に、政策や信用への不安が挙げられます。最近の米国市場では、米国債の信頼低下や政府債務への懸念から債券が売られ、同時に株式も景気懸念で売られる局面がありました。ゴールドマン・サックスは「市場が米国の制度への信頼を失うリスクが高まれば、米国株と米国債が持続的に同時売りされる可能性がある」と警告しています。実際、米国の財政赤字拡大や中央銀行(FRB)の独立性への懸念が意識され、「米国離れ」の動きが起きつつあるとの指摘もあります。

また、地政学リスクや政策の不確実性もツインショックを誘発します。例えばトランプ大統領の貿易戦争や政権運営への不透明感から、株・債券だけでなく安全通貨とされた米ドルまで同時安となる異例の展開が見られました。通常、安全資産と見られるはずの米国債やドルまでもが売られる状況は、市場参加者にとって衝撃です。これは「アメリカ売り」とも呼ばれ、市場の常識だった「有事のドル・有事の債券」神話を打ち砕く出来事でした。

このようにツインショックは、「分散すれば安心」という前提を覆す厄介な現実です。株と債券の両方が下落してしまえば、ポートフォリオ全体が大きな打撃を受けてしまいます。私自身、このリスクに直面して初めて痛感したのは2022年の相場でした。まさに「どちらに転んでも損失」という状況を経験し、従来の分散戦略だけでは不十分だと感じたのです。

では、こうした新たなリスク時代に、私たちはどう備えれば良いのでしょうか?ゴールドマン・サックスなど大手金融機関は、伝統的な株・債券だけのポートフォリオに新たな安全資産を組み込むことを提案しています。


ゴールドマン・サックスが提案する代替資産:GOLDと原油

ゴールドマン・サックスは、従来の60/40ポートフォリオを補完する形で「金(GOLD)と原油を組み入れる長期投資」を促しています。彼らの分析によれば、株式と債券に金(GOLD)と原油を加えることで、平均リターンを維持しつつリスク(変動率)を低減できるというのです。実際、過去のデータでも両資産を組み入れたポートフォリオは年率ボラティリティを約10%から7%未満に下げる効果が確認されたとされています。

なぜ金(GOLD)と原油なのでしょうか?

ゴールドマンはその理由を、「株式・債券ポートフォリオを揺るがす主要なインフレショックに対する極めて重要なヘッジだから」だと説明しています。具体的には、金(GOLD)は中央銀行の信用低下や財政悪化によるインフレへのヘッジとなり、原油は供給ショックによるインフレへのヘッジとなる役割があります。言い換えれば、金(GOLD)と原油を組み合わせれば「金融不安」と「資源インフレ」双方のリスクに備えられるというわけです。

ゴールドマン・サックスは特に金(GOLD)の比重を高めに(オーバーウェイト)、原油は抑えめ(アンダーウェイト)ながらポジティブに保有することを推奨しました。今年に入り、実際金(GOLD)は力強い上昇を見せています。2025年だけで金価格は26%も上昇し、4月下旬には1オンス=3,500ドル超と史上最高値を更新、今年の主要資産クラスでトップクラスのパフォーマンスとなっています。ゴールドマンは現時点で年末に3,700ドル、2026年半ばに4,000ドルという強気の予測を立てていますが、仮に先述のような「米国の信用不安」が深刻化すれば「年末までに4,500ドル(+36%)も視野に入る」とまで言及しています。

一方、原油については「需給環境によっては一時的な供給不足リスクがある」としつつも、2025~26年は供給余力が大きく不足リスクは限定的との見方から、プラスだが抑えめの比率に留めることを提案しています。つまり原油はあくまで「保険」として少量組み入れ、主役は金(GOLD)でヘッジ効果を狙う戦略です。実際、ゴールドマンは「5年以上の長期保有を前提とする投資家には金を高配分で」と推奨しており、安全資産の王道として金(GOLD)を重視していることがうかがえます。

私自身もこの提案には大いに納得しています。債券の代わりに何をポートフォリオの守りに置くか?と問われれば、金(GOLD)と原油という選択は理にかなっているからです。特に金(GOLD)は後述するように歴史的にも信頼性の高い資産ですし、原油も現代経済ではインフレや景気動向と深く結びついたコモディティです。実際、2020年代に入り各国中央銀行がこぞって準備資産として金を買い増していること自体、従来のドルや債券への信頼低下を物語っているように思います。

では次に、肝心の金(GOLD)がなぜそこまで「頼れる資産」なのか、その背景を3つのポイントで見てみましょう。


金(GOLD)が信頼される資産である3つの理由

金(GOLD)が「究極の安全資産」と呼ばれるゆえんは、一朝一夕に作られたものではありません。ここではインフレ耐性中央銀行の支持実物資産の安心感という3つの観点から、金(GOLD)の信頼性を探ります。

◼︎1, インフレに強い(購買力の維持)
金(GOLD)は古くからインフレヘッジ(通貨価値下落への備え)手段として重宝されてきました。実際、市場が混乱するときには金価格が上昇するという実績があり、通貨の購買力が低下する局面で価値を保ちやすいのです。現に多くの投資家がインフレ懸念を抱える中、金(GOLD)への需要が急増しています。トランプ政権下での関税合戦が物価上昇リスクを招いた際も、投資家はこぞって金を「避難先」として買い求めました。金(GOLD)は発行体の恣意(中央銀行の金融緩和など)に左右されない実物資産ゆえ、紙幣価値が下がるほど相対的な価値が光るのです。

◼︎2, 中央銀行も支持する裏付け資産
金(GOLD)への信頼を最も象徴するのが、世界の中央銀行が積極的に金を備蓄している事実です。2022年以降、各国中銀は年間1,000トン超という記録的ペースで金を買い増し続け、1970年代以来の水準まで公式保有量を積み上げました。その結果、金(GOLD)は今や世界全体の準備資産の20%を占め、ユーロ(16%)を抜いてドルに次ぐ第2位の地位に浮上しています。背景にはロシアの外貨凍結を目の当たりにした新興国を中心に、「ドルや他国通貨だけに頼れない」という危機感があります。金はどの国の信用にも依存しない中立資産であり、制裁リスクにも強いことから、公的機関にとって「最後の拠り所」になっているのです。中央銀行がこれだけ買っている資産という点で、金(GOLD)ほど裏付けのある安心材料はないでしょう。

◼︎3, 実物資産ゆえの安心感(信用リスクがない)
金(GOLD)は現物資産であり、「紙切れ」ではありません。株式や債券のように発行体の信用リスクを伴わず、価値そのものが消滅するリスクが極めて低いのが特徴です。歴史を紐解けば、金は数千年にわたり世界中で通用する価値の貯蔵手段として機能し続けてきました。高い希少性と美的・工業的価値を兼ね備え、どの時代・地域でも貨幣や富の象徴として受け入れられてきたのです。政治・経済が不安定な時代でも、「最後は金だけが信用できる」という状況が繰り返されてきました。また、金は形のある資産なので容易に輸送・売却が可能であり、流動性という点でも優れます。極端な話、銀行や証券会社がすべて機能停止しても、手元の金がゼロになることはありません。以上の点から、金(GOLD)は「信用リスクのない究極のマネー」とも言われ、長期的な安心感をもたらしてくれるのです。


以上の理由から、金(GOLD)はインフレ・信用不安・市場混乱といったあらゆる経済ショックに対する「保険」として機能すると言えます。「株も債券も不安だ…」というとき、何百年も価値が認められてきた金がポートフォリオに少し入っているだけで、精神的な安定感も違ってくるでしょう。私自身、金の現物を手にしたとき、その重みと輝きに「これが究極の安心材料かもしれない」と感じたものです。


ポートフォリオに金(GOLD)を組み込む実践:構成比・リバランス・自宅保管

金(GOLD)の有用性は理解できても、「具体的にどうポートフォリオに組み込めばいいの?」という疑問が湧くでしょう。ここでは、初心者の方にも実践しやすい金(GOLD)投資の取り入れ方について、3つのポイント(構成比リバランス保管方法)を解説します。

① 構成比の目安
金(GOLD)をどの程度ポートフォリオに入れるかは悩みどころですが、一般的な目安は全資産の10~20%程度と言われます。三菱マテリアルなどの資料によれば、ヤング~ミドル世代では10~15%程度を「守りの資産」として組み入れるケースが多く、守りを固めたいシニア世代では15~20%程度に高めても良いとされています。たとえば総資産1,000万円の方なら50~150万円分を金に振り向けるイメージです。株式中心でリスクを取っている方ほど、金の比率は少し高めにしておくと安心感が増すでしょう。逆にリスク資産が少ない守り重視の方は、金はほどほど(5~10%)でも構いません。重要なのは、ご自身のリスク許容度に合わせて無理のない範囲で金を配分することです。

② 定期的なリバランス
金を組み入れた後は、定期的にポートフォリオ全体を見直す(リバランス)ことが肝心です。市場の変動により、時間とともに資産配分はズレていきます。例えば株50%・金50%で始めても、株価が上がり金価格が下がれば「株60:金40」に偏るでしょう。そのまま放置すると、当初想定していたリスク・リターンから乖離してしまいます。そこで定期的に比率を元に戻すのです。先の例で言えば、株を一部売却して金を買い増し、再び株50:金50に戻すといった調整を行います。これによりポートフォリオの安定性を維持でき、リスク過多の状態を避けることができます。目安として半年~年に一度はリバランスを検討すると良いでしょう。私からのアドバイスとして、「上がったものを少し売り、下がったものを買い増す」習慣をつけると、長期的に健全な運用が続けられると感じます。

③ 現物の保管方法
金への投資は現物(金地金や金貨)を購入する方法と、証券口座で金ETFや純金積立を利用する方法があります。それぞれ利点がありますが、現物の安心感を求める方はご自宅での保管も選択肢になるでしょう。自宅保管の際に注意したいのは盗難・災害リスクへの備えです。専門家も「自宅で金を保管する際は専用の金庫を導入し、セキュリティ対策を徹底することが重要」と強調しています。決してタンスや床下など安易な場所に隠してはいけません。それでは空き巣や火災で失ってしまうリスクが高まります。理想は重量があって持ち去り困難な耐火金庫を用意し、その中に金地金や金貨を保管することです。金庫自体も防犯設備の一つと考え、しっかり鍵管理するのは言うまでもありません。また、保管場所を第三者に知られない工夫も必要です。もし自宅での保管が不安な場合は専門業者の保管サービス等を利用するのも手です。多少コストはかかりますが、より厳重な環境で保有できる安心感があります。いずれにせよ、大切な資産を守るために保管方法にも十分配慮することが大事です。私も初めて金貨を手に入れたとき、その置き場所には細心の注意を払いました。「備えあれば憂いなし」の精神で、安全に資産を守りましょう。


変わりゆく投資の黄金ルール:新時代への備えと提案

以上見てきたように、かつて絶対視されていた投資の黄金ルール(株式+債券の分散神話)は変化を余儀なくされています。高インフレと金融政策の転換期にある現在、「債券さえ持っていれば大丈夫」という時代は終わったのかもしれません。むしろ60/40戦略の基盤が崩れつつある今、私たちは新たな発想で資産防衛を考える必要があるのでしょう。

ゴールドマン・サックスの提案や中央銀行の動きを見る限り、これからの「安全資産」は債券から金(GOLD)(そして一部のコモディティ)へとシフトしつつあるように感じます。事実、世界的な資金の流れもそれを裏付けています。私から投資初心者~中級者の皆さんへの提案としては、ぜひ一度ご自身のポートフォリオを点検し、従来の常識にとらわれず柔軟に戦略をアップデートしてみてください。例えば、債券の比率が高すぎないかチェックし、一部を金(GOLD)など実物資産に振り向けることを検討してみるのです。

もちろん、債券そのものを全て否定するわけではありません。債券も短期債やインフレ連動債など、新しい環境に適した商品を選べば引き続き役立つ場面はあります。しかし重要なのは、「過去うまくいったから」と盲目的に信じ込まず、環境の変化に応じてポートフォリオを進化させることです。投資の世界では「卵を一つのカゴに盛るな(分散投資せよ)」という格言がありますが、現代では「異なる種類のカゴ(資産クラス)にも目を向けよ」という一歩踏み込んだ分散が求められていると言えます。

最後に、小川からの注意喚起です。現在の市場は、インフレや地政学リスク、政策不確実性などかつてないほど複合的なリスクにさらされています。「これまで大丈夫だったから今回も大丈夫」という油断は禁物です。むしろ、「今までと同じやり方では通用しないかもしれない」という前提で準備することが肝心でしょう。幸い、金(GOLD)という何百年も価値を保ってきた資産が私たちにはあります。私は読者の皆さんに、今一度ポートフォリオを見直し、「新しい黄金ルール」に沿った備えを整えることを強くおすすめします。それは決して恐れることではなく、将来の安心を買うための前向きな一歩です。時代の変化にしなやかに対応しつつ、大切な資産を守り増やしていきましょう。参考になれば幸いです。


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