2025/07/09

真夏の東京レトロカフェ 〜女性起業家2人の友情と投資戦略〜



再会の舞台:昭和レトロな隠れ家カフェ

真夏の蒸し暑さが漂う東京の夕暮れ時、丸の内のオフィス街を一人の女性が足早に歩いていました。ノースリーブのハイブランドワンピースに身を包み、小脇にビジネスバッグを抱えた彼女は、汗をぬぐいながらも高揚した面持ちです。彼女の名前は直美。30代にして都内で急成長中のスタートアップを率いる起業家であり、その鋭い眼差しには日々の忙しさと充実感が宿っています。今日はこれから昭和レトロな雰囲気で女性に人気の隠れ家カフェへ向かうところです。幼い頃からの親友と久々に会う約束に胸を弾ませ、彼女は自然と足取りを早めていました。

一方、その親友である美香も同じ東京の空の下にいました。美香は自由奔放な「ノマド」起業家。キャンピングカーで日本各地を旅し、Wi-Fiさえあればどこでも仕事をこなす彼女は、都会の喧騒から離れ全国を巡っていました。そんな美香がこの夏、久々に東京に戻ってきたのです。旅先で日に焼けた肌に、リネン素材のゆったりしたサマードレスという装いは、直美とは対照的にラフで開放的。それでも凛とした表情と自信に満ちた笑顔からは、彼女もまた一国一城の主として事業を手掛けてきた矜持が感じられます。

夕焼けに照らされた路地裏に、そのカフェはひっそりと佇んでいました。古い木製の引き戸を開けると、ノスタルジックなインテリアが目に飛び込みます。磨りガラス越しの柔らかな照明、昭和のポスターが貼られた壁、磨き込まれたマホガニーのカウンター。奥のテーブル席ではレコードプレーヤーからジャズが流れ、ほのかなコーヒーの香りが漂っていました。直美は少し早く店に着き、冷たいアイスコーヒーを注文します。氷の触れ合う音を聞きながら、彼女は窓際の席でそわそわと友を待ちました。

カラン、と入口の鈴が鳴り、美香が姿を現しました。「美香!」直美が立ち上がり声を掛けると、「直美!」と美香も笑顔で手を振ります。二人は駆け寄るようにして再会を喜び合い、軽くハグを交わしました。涼やかな店内に安堵した様子の美香は、「ごめん、お待たせ。渋滞に巻き込まれちゃって」と息を弾ませます。「ううん、私も今来たところだよ」と直美。久々に会う親友の笑顔に、直美は胸が熱くなるのを感じました。


すれ違いと成長:2023年の確執を乗り越えて

二人が最後に会ったのは、ちょうど2023年の夏でした。実はその時、二人の間には小さくない溝が生まれていました。直美は都心のビジネス最前線で駆け抜ける日々。会社の拡大と上場準備に追われ、「とにかく今が踏ん張りどき」という責任感でいっぱいでした。一方の美香は、組織や場所に縛られない生き方を求め、愛車のキャンピングカーで地方を巡りながら仕事をするライフスタイルに舵を切ったところでした。価値観の違いからか、2023年当時、直美は美香の生き方を「逃げにも見える」と感じてしまい、美香は直美の働きぶりを「人生を楽しむ余裕がないのでは」と案じていました。

あのときの二人の会話は今でも鮮明です。直美は真剣な表情で「私は会社に人生を懸けているの。今走らなきゃ、将来の成功なんて掴めない」と語り、美香は寂しそうに「成功って何だろうね…私は旅先で見る夕日や、その土地の人との触れ合いに価値を感じるの」とつぶやきました。噛み合わない議論の末、感情的になった直美は「美香には私の苦労なんて分からないよ!」と言い放ち、美香も「直美こそ、私の幸せを分かってない…」と涙ぐんで店を飛び出してしまったのでした。それが2023年の夏の確執です。

しかし時は流れ、互いにそれぞれの道で経験を積む中で、二人の心にも変化が生まれました。直美はビジネスの荒波に揉まれるうちに、一度きりの人生を仕事だけでなく楽しもうという余裕が芽生え始めました。美香も各地を巡る中で、自由な暮らしの裏にある責任や経済的安定の大切さを実感し、自身の事業計画を見直すようになりました。お互い一歩ずつ成長し、自分とは異なる生き方にも以前より理解と敬意を持てるようになっていたのです。

「元気だった?」再会して席に着いた二人は、最初こそ少し緊張した面持ちでしたが、アイスコーヒーの冷たさと店の懐かしい雰囲気に促されるように少しずつ打ち解けていきました。2年ぶりの再会にぎこちなさもありましたが、ぽつりぽつりと近況を報告し合ううちに、笑顔が増えていきます。直美は事業の進捗や新サービスの立ち上げについて語り、美香は日本一周の旅路で出会った人々やエピソードを楽しそうに話します。

やがて、直美が少し改まった様子で切り出しました。「美香、あの時はごめんね。私…余裕がなくて、ひどいこと言っちゃった」。美香は一瞬驚いた顔をしましたが、すぐに柔らかな笑みを浮かべ、「ううん、私こそごめん。直美の気持ち考えずに自分の価値観押し付けちゃって…」と返します。互いに素直な気持ちを伝え合い、わだかまりは静かに氷解していきました。カフェのスピーカーから流れるジャズのメロディーが、二人の沈黙を優しく包み込みます。ふと見つめ合うと、すぐに二人とも吹き出しました。「なんだか照れくさいね」「ほんと、青春ドラマみたい」と笑い合い、グラスを合わせて再会を祝福しました。


世界の激変と将来への不安:2025~2026年の政治・経済

和解した二人は、ふと話題を世界の動きへと移していきました。というのも、この2年間で政治や経済の情勢が劇的に変化しており、起業家として将来への不安を感じていたからです。とりわけ話題に上ったのは米国の状況でした。「直美、最近アメリカのニュース見てる?イーロン・マスクが『アメリカ党』なんて新党を作るかもって…」と美香が切り出します。直美は頷き、「見た見た。マスク氏がトランプ大統領と喧嘩別れして、新しい政党作るってSNSに書いてたよね」と応じます。

実際、2025年の半ばからアメリカでは驚くべきニュースが相次いでいました。テスラやSpaceXの創業者で世界有数の富豪であるイーロン・マスク氏は、当初トランプ政権を裏方で支える重要人物でした。しかし、トランプ大統領による大型の減税・歳出法案(通称「Big, Beautiful Bill」)を巡って両者の関係が悪化し、2025年6月末ついにマスク氏が「こんな法案が通るなら我々が一党独裁国家に住んでいることは明らかだ。まさにポーキー・ピッグ党だ!国民のための新党が必要だ!」と怒りをあらわにしたのです。マスク氏は「この狂った歳出法案が可決されれば、翌日には『アメリカ党』を結成する」と自身のX(旧Twitter)に投稿し、民主・共和両党に代わる選択肢を作ると宣言しました。彼のSNSフォロワー数は世界で2億人を超え、その発信力は絶大です。共和党の最大の資金提供者でもあるマスク氏の新党構想は、アメリカ政界に衝撃を与えました。

トリプルレッドって知ってる?」と美香が尋ねると、直美は少し考えてから「うん、たしか大統領職と上下院の全部を共和党が押さえてる状態のことだよね」と答えます。美香はスマホで日経新聞の電子版記事を見せながら、「そう。今のアメリカはトランプ大統領と議会の両院とも共和党が多数派を占める完璧な与党支配状態、『トリプルレッド』なんだって。でもマスク氏が新党を本気で立ち上げて2026年の中間選挙で候補者を立てたら…共和党には逆風になるって」と説明しました。実際、日本経済新聞も「マスク新党ならトランプ共和に逆風、『トリプルレッド』の脅威に」と報じ、マスク氏の動きが与党共和党にとって大きな脅威であると分析しています。

直美は記事を覗き込みながら、「共和党の支持者にもマスク氏に共鳴する層が一定数いるから、保守票が割れちゃうのね」とつぶやきます。「そうみたい。いわゆるスポイラー効果で、僅差の選挙区だとマスク新党が出るだけで民主党候補が勝つ可能性が上がるらしい。共和党は下院の過半数を失うかもって」と美香。日経の記事によれば、現在下院は共和220議席・民主212議席と僅差(欠員3)で、次の中間選挙で民主党が下院多数を奪還すればトランプ大統領は予算審議などで妥協を迫られるだろうとも指摘されています。

歴史的にも中間選挙って与党には逆風になるケースが多いしね…2010年も2018年も2022年も、下院は与党が負けて野党が取ってる」と直美が思い出すように言えば、美香も「うん、有権者の審判って感じだよね。しかも今回はマスクさんという超大物が絡んでくるから…」と不安げに頷きます。実際、ある政治学者は「DOGE(マスク氏が率いた行革)の人気低下や、マスク氏が金で選挙を買おうとしていると感じる有権者が増えたことで、むしろ民主党の票を押し上げる“秘密兵器”になる可能性がある」と述べています。つまりマスク氏の振る舞いが民主党支持者をかえって奮起させるとの見方です。

二人は顔を見合わせました。「アメリカ政治が荒れると、世界のマーケットもどうなるか読めないね…」と直美がぽつりと言います。美香も頷き、「日本だって無関係じゃないもの。アメリカ経済の影響は大きいし、為替だって乱高下しかねない」と応じました。起業家であり投資家でもある二人にとって、政治の不透明感はビジネスリスクに直結します。「2024年の大統領選でトランプ氏が再選して迎えた2期目、最初の中間選挙が2026年11月…それ次第で世界経済のかじ取りが大きく変わるかもしれない」と直美は言い、美香もうなずきます。

さらに経済面でも不安材料が山積みでした。コロナ禍以降のインフレ高進を受け、主要国の中央銀行はこぞって金利を引き上げました。米国では約20年ぶりという異例のペースで利上げが行われ、2023年7月には政策金利がついに5.25%~5.5%と22年ぶりの高水準に達しました。米連邦準備制度理事会(FRB)の執拗な利上げで住宅ローン金利はわずか1年余りで二倍以上に跳ね上がり、借入コストの増大に直面した企業や消費者は打撃を受けています。直美は経済ニュースにも詳しく、「アメリカでは利上げの影響でテック企業や一部の銀行が経営不安に陥って倒産したり、リストラ続出という話もあったね」と指摘しました。美香も「うん、金利が急に上がったからシリコンバレー銀行の破綻なんてニュースも聞いたし…。景気は減速気味なのにインフレも完全に収まってないっていうし、難しい局面よね」と応じます。

日本でも2023年から2024年にかけて、長らく続いた超低金利政策に変化の兆しが見えました。日銀は国債金利の上昇をある程度容認する金融緩和の修正に踏み切り、不動産市場や為替への影響が注目され始めています。「東京の不動産も価格高騰が一服してきた感じするよね。住宅ローン金利もじわっと上がってるし」と美香が言えば、直美は「そうね、特に海外投資マネーは利回り低いと引いちゃうから。実際、日本のREITも最近冴えないの」と自身の投資経験を交えて話します。「2024年前半なんて、日本の上場REIT指数は-3.7%下落したのに日経平均は+9.9%も上がっていたそうよ。やっぱり金利上昇局面では不動産は見劣りしがちね」と直美がデータを示すと、美香も「なるほど、株式の方がパフォーマンス良かったのね」と感心した様子です。

世界の地政学リスクも依然くすぶったままです。ウクライナ情勢、中東での紛争、各国の対立…。美香は旅先で地方の高齢者から聞いた話を思い出しました。「この前立ち寄った田舎町で、おばあちゃんが『戦争とか景気とか心配でタンス預金してるの』って話しててね…。やっぱり不安よね、世の中」と呟くと、直美も「分かるなあ。有事の備えって大事だもの。投資家だってリスクオフになると真っ先に安全資産に逃げるし…」としみじみ語りました。

二人の共通の懸念は、「この先どんな激変が起きても、自分たちの資産とビジネスを守り抜けるか?」ということでした。2026年の米国中間選挙で政治の舵取りがどう転ぶのか、世界経済はインフレと景気減速という二重の課題をどう克服するのか、不確実性は高まるばかりです。カフェの窓の外では都会の喧騒が少しずつ静まり、涼しい夜風が吹き始めていました。直美と美香はグラスに残った氷を音を立てて転がしながら、「こんな時代だからこそ、賢く資産を守り増やしていかなくちゃね」と目を見交わしました。次第に話題は、具体的な資産運用戦略へと移っていきます。


コーヒーと投資談義:揺るがぬポートフォリオを求めて

静かな店内で、お互いの近況から世界情勢に至るまで語り合った二人は、自分たちの投資戦略についてじっくり意見交換を始めました。ビジネスオーナーである彼女たちは、それぞれ自社の資産運用や個人の投資にも日頃から気を配っています。直美は企業経営の延長で余剰資金を運用する必要に迫られ、美香も将来の蓄えづくりとして旅の合間に投資の勉強をしてきました。二人はノートを取り出し、お互いの投資ポートフォリオを見せ合います。「こういう話を美香とできるなんて嬉しい」と直美が微笑めば、美香も「うん、私も。真面目に資産運用考えようって思ったの初めてかも」と笑いました。

まず議題に上ったのは株式についてでした。直美は自身の会社の株式だけでなく、国内外の株式市場にも広く投資しています。「やっぱり株はポートフォリオの基盤よね」と直美は力説します。「企業の成長に賭ける株式投資は、長期的に見ればインフレに負けないリターンを生んできたもの。実際、日本株だって2023~2024年にかけて日経平均がバブル崩壊後最高値を更新する盛り上がりだったでしょう?」と彼女は言います。美香もうなずきました。「ニュースで見た!日経平均が36,000円を超えたとか。ウォーレン・バフェットが日本企業に注目してるって話題にもなって、なんだか誇らしかったな」。直美は「そう、バフェット氏も日本株買ってたわね。企業統治改革で海外投資家の注目も集まったし。株式市場は適切に分散すれば将来への投資になるって改めて感じたわ」と微笑みました。

一方で、株式は日々値動きがありリスクも伴います。特に米国株は足元で高値圏にあるとの見方から利益確定売りが出ているとも報じられました。「米株は最高値近辺で『アメリカ売り』の動きもあったって。投資家が米国株や米国債を売って、そのお金で他の安全資産に移す動きね」と直美が解説すると、美香は「アメリカ売り…やっぱりみんな不安なんだね」とつぶやきます。実際、今年の金価格の急騰を引き起こした要因の一つがこの米資産の利食い売りでした。

「それで思い出したけど、金(GOLD)よ!」と美香が身を乗り出しました。「直美、金をもっと買い増そうと思ってるって言ってたよね?」。直美は頷き、「そうなの。最近特に金現物の魅力を再認識してて」と答えます。美香はバッグから小さなコインケースを取り出しました。カラン、とテーブルの上に置かれたそれは、ピカピカに輝く純金のコインです。「わあ、これブリタニア金貨? 美香も買ったの?」と驚く直美に、美香は「旅の途中で立ち寄ったお店で一目惚れしちゃって」と笑います。直美も負けじと「私も最近ブリタニア金貨を買ったの」とスマホに保存した写真を見せ合いました。

実際、金価格は近年大きく上昇しています。2023年からのインフレや地政学リスクを背景に安全資産としての需要が高まり、2025年4月には史上初の1オンス=3,500ドルの大台を突破する瞬間もありました。今年に入ってから金価格は既に30%近く上昇しており、今なお高値圏にあります。記事によれば執筆時点(2025年7月上旬)で1オンス=3,350ドル前後と、年初から約30%も値上がりしているとのことです。この金急騰の背景には、各国中央銀行による金準備の積み増しや米中関税問題の不透明感、中東地域の紛争、そして世界経済の減速懸念があったと分析されています。

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金庫室に積み上げられた金の延べ棒とコイン(ドイツ・ミュンヘンにて、2025年1月)


「中央銀行が金を買い漁ってるってニュースもあったよね」と美香が言えば、直美は「うん、歴史的な規模みたい」と頷きます。実際、2022年に各国中央銀行が購入した金は1,082トンと過去最高を記録し、2023年も1,037トンと高水準が続きました。そして2024年にはついに1,000トン超を3年連続で達成し、これは過去10年平均の2倍にも達する異例の「金買い」だったと報じられています。中央銀行の旺盛な需要が金市場を下支えしているのです。

「やっぱり有事の金っていうものね。各国の中央銀行がドル離れして金を持ちたがってるの、分かる気がする」と直美は言います。米国の財政赤字や政治の不確実性から、世界的に「脱ドル化」の動きで準備資産を分散する流れが強まっているとも伝えられます。トランプ政権の気まぐれな政策や膨張する米国債務に不信感が高まり、従来安全と信じられてきたドルや米国債から金へ資金を移す動きが顕著だという分析です。「日本でも金投資してる人増えてるのかな?」と美香が尋ねると、「増えてると思う。ネット証券でも純金積立が人気って聞くし、金貨や地金を小口から買えるサービスもあるもの」と直美は答えました。実際、世界的な金ETFへの資金流入も続いており、個人から機関まで金をポートフォリオに組み入れる流れは当面続くとの予測もあります。

一方、金には注意点もあります。直美は「ただ、金は利息を生まない資産だから、金利が高いうちは機会費用も大きいのよね」と指摘します。「だから市場では『2025年後半から2026年にかけて金価格は下落に転じる可能性がある』なんて予測も出てるくらい」と、先日読んだレポート内容を思い出しました。実際シティグループは、FRBが利下げに転じ投資需要が落ち着けば2026年末までに金は1オンス=2,500ドル程度まで下がるシナリオもあり得ると分析しています。足元の金相場は過熱気味との指摘もあり、直美は「上がりっぱなしの資産はない。だからこそ定期的な見直しとリバランスが大事ね」と冷静です。それでも、美香が「それでも実物の輝きを手元に置いておけると安心するのよね…非常時のお守りというか」と金貨を見つめて言うと、直美も「うん、その気持ちはすごく分かる」と微笑むのでした。紙の資産とは異なり、自分の手で触れられる金は心理的な安心感すら与えてくれます。二人は金貨を指でなぞりながら、そのずっしりとした重みに小さく頷き合いました。

次に話題に上ったのは不動産です。直美も美香も、不動産には慎重な姿勢でした。「私は当面、不動産は中立(ニュートラル)で行こうかと思ってる」と直美が切り出します。「やっぱり金利上昇局面では不動産投資の妙味が薄れるわ。ローン金利が高いとレバレッジ効かないし、資産価値も頭打ちになりがち」と、彼女は都心の不動産市況を語ります。美香も地方を巡る中で空き家問題や地価動向に触れてきて、「こっちは逆に地方衰退リスクもあるしね…。賃貸経営とか興味はあるけど今すぐ手を出す気にはなれないかな」と首を振ります。

直美は自社オフィスの移転検討で得た知見を共有しました。「東京は相変わらず不動産価格高いけど、最近は金利上昇で値上がりも鈍化してきたわ。都心のオフィスビルなんか空室率も少し上がってオーナーも強気じゃなくなってきた」。「住宅も新築マンション価格が天井感あるってニュースで読んだ」と美香。「うん、建築コストが上がってるから下がりはしないけど、利上げで買い手の予算は厳しいものね」と直美は分析します。もっとも、日本は欧米ほど急激な金利上昇はなく、不動産市場も安定はしています。それでも、「無理に借金して物件を増やす時期ではないかな」というのが二人の共通認識でした。直美は「今ある物件は維持しつつ、キャッシュフロー重視で行く。焦って高値掴みしないことね」と言い、美香も「私も投資用ワンルームとか興味あったけど、様子見する。買うなら自己資金を十分入れて、利回りしっかり確保できる良物件だけにするつもり」と応えました。幸い、二人とも自宅やオフィスは既に所有しているため、新規の不動産投資には慎重になれる状況です。「不動産は急がずよ。金利がまた下がる局面が来たら考えてもいいし」と、カフェラテを啜りながら話し合いました。

最後に議論したのは暗号資産(仮想通貨)についてでした。ここでは二人の意見は珍しく完全に一致しました。直美は「クリプト(暗号資産)は今回はパスかな…」と苦笑いします。美香も「うん、私も今は様子見。ビットコインも一時期買ったけど、もう売っちゃった」と語りました。その背景には、この数年で目の当たりにした暗号資産市場の激しいボラティリティ(価格変動)があります。二人とも2022年のいわゆる「クリプト冬の時代」を覚えていました。ビットコイン価格が最高値の6.9万ドル(約750万円)から暴落し、2022年末には1.6万ドル台まで80%以上急落した大惨事です。大手取引所FTXの破綻など相次ぐ業界スキャンダルも相まって、市場全体の時価総額から1.4兆ドルもの資金が消し飛んだとも報じられました。ビットコイン単体でも年間で約60%下落し、インフレヘッジどころか危機時に真っ先に売られるリスク資産だと痛感させられたのです。

「正直、あれで懲りたわ…」と美香は肩をすくめます。「確かにブロックチェーン技術は面白いし、暗号資産が未来の金融になる可能性は感じる。でも投資対象としては値動きが激しすぎて、心臓に悪いもの」。直美も頷きます。「私も同感。しかも今、新たなリスクも指摘されているのよね」。彼女が指摘したのは量子コンピューターの台頭です。次世代の超高速計算機である量子コンピューターが実用化されれば、現在の暗号技術が破られる恐れがあると言われています。「とある研究者は『量子コンピューターの進展で現在の暗号が終わり、金融市場全体や国家安全保障にリスクをもたらしうる』って言ってたわ。ビットコインやイーサリアムが使っている公開鍵暗号が将来解読されちゃうかもしれないの」。美香は目を見開き、「そんなSFみたいな話が現実味を帯びてるんだ…」と驚きを隠せません。実際には現在の量子技術はまだ発展途上で、すぐにビットコインがハッキングされる状況ではないとされています。しかし、Googleが量子超越性を達成するチップを発表するなど技術革新のスピードは速く、専門家によればあと10年もしないうちにブロックチェーンの暗号を脅かす高度な量子コンピューターが登場する可能性もあると言います。そのため、暗号資産業界もポスト量子暗号への移行など対策を模索していますが、完全な対応には長い停止期間や技術的課題が避けられず、実現は容易ではありません。

「だから私、暗号資産は“持たざるリスク”より“持つリスク”の方が大きいって判断したの」と直美は言い切りました。「現状、法規制も整っていないし、税制も不利。わざわざ今積極運用しなくてもいいかなって」。美香も「私もそう思う。魅力的な新技術だけど、投資としてはイマイチ安心できないよね。必要になったらまた買えばいいかなってくらいの距離感でいる」と完全に同意しています。こうして暗号資産は、二人のポートフォリオでは最下位の優先度となりました。


二人が導き出した投資戦略の要点

二人は議論を通じて、自分たちの資産運用方針を次のように整理しました。

1. 株式(Stocks)– 引き続きポートフォリオの中核
国内外の株式を分散保有する。企業の成長による資本益で資産の長期的な増価を図る。特に日本株を含め、基本は継続投資。ただし相場変動には注意し、高値圏では利益確定も検討。

2. 金(GOLD)-「有事の備え」として比重を増加
インフレ・政治不安に強い安全資産として金地金や金貨の保有を拡大する。今年の金価格高騰を踏まえつつ、一部は積立で時間分散して購入。現物資産を持つ安心感も重視。ただし無利息資産ゆえのコストも認識し、市場動向を定期チェック。

3.不動産(Real Estate) 当面は中立スタンス
新規投資は慎重に判断。金利上昇下で収益性が低下しているため大きく踏み込まない。既存不動産は保有維持し、キャッシュフロー確保を優先。将来的な金利低下局面や良質な物件との出会いまで無理に拡大しない。

4.暗号資産(Crypto)– 基本的に見送り
極端なボラティリティと将来的な量子計算リスクを考慮し、新規投資は行わない。市場健全性や規制整備が進み、リスクとリターンが見合うと判断できるまで静観する。どうしても必要になった場合に限定的な額で関与する程度に留める。

こうして改めてリスト化してみると、二人の考えは驚くほど共通していました。「やっぱり私たち、根っこの部分は似ているのかもね」と美香が笑えば、直美も「本当ね。安心したわ」と微笑み返します。コア資産は株と金で堅実に、あとは慎重に—これが彼女たちの導き出した結論でした。


未来への決意と友情の絆

気が付けばカフェは閉店の時刻が近づいていました。他の客が帰り、店内には直美と美香だけ。窓の外にはネオンが瞬き、東京の夜景が広がっています。昭和レトロな内装の店内で交わした濃密な会話は、二人の心に新たな決意を芽生えさせていました。

「なんだか、少しスッキリした気分」直美がそう言って大きく伸びをすると、美香も「うん、未来への不安がちょっと整理できた感じ」と頷きました。「一人で悩んでニュース追ってると悲観的になっちゃうけど、こうして話すと前向きになれるね」と直美。美香は静かにコインを指でもてあそび、「この金貨、今日の記念に半分こできたらいいのにね」と冗談めかして笑いました。「やだ、割ったら価値なくなっちゃうでしょ!」と直美が笑うと、「そうだった!」と二人で声を合わせます。

ふと、美香が席を立ちました。「ちょっと渡したいものがあるの」とカバンをごそごそします。そして取り出したのは、小さなベルベットの巾着袋でした。美香がそれを直美の手にそっと載せます。「え、なになに?」と怪訝そうな直美。袋の中から出てきたのは──一枚の古びた金貨でした。それは美香が祖母から譲り受け、大切に持ち歩いていたアンティークコイン。「旅のお守り代わりにしてたんだけど…今日の記念に、直美に預かってほしいな」と美香は照れ臭そうに言います。「え、でも大事なものなんでしょ?」と戸惑う直美に、「うん。でもね、友情の証として持っていてほしいの。私たちのこれからの繁栄と安全を願って…なんて、ちょっと大げさかな?」と美香ははにかみました。直美は思わず胸が熱くなり、「ありがとう、美香…!」と手を重ねました。「このコインを見るたび、今日のことを思い出すわ。辛い時も頑張れそう」と直美の目に光るものが浮かびます。「直美なら大丈夫。お互い頑張ろう。私たち二人なら、どんな嵐も乗り切れるよ」と美香も目を潤ませました。

二人は静かに店を後にしました。夜風が火照った頬に心地よく、見上げると東京タワーが遠くに輝いています。肩を並べて歩きながら、直美が「ねぇ、また定期的に情報交換しよう?オンラインでもいいから」と提案すると、美香は「もちろん!DEVOTION GOLD CLUBのブログにこの物語を書いて共有しようかな」とウインクします。「えー、やだ恥ずかしい!」と笑う直美に、「匿名なら大丈夫だって」と美香も笑いました。

レトロな街並みにネオンが溶け込む東京の一角で、二人の笑い声が響きました。かつて衝突した親友同士が、お互いを理解し支え合い、新たな未来への一歩を踏み出そうとしています。投資戦略という現実的な話題を通じて、二人は再び絆を深め、その友情はまるで金貨のように輝きと価値を増していくのでした。「またね!」固いハグを交わし、それぞれの夜へと歩き出す二人。東京の夜風はどこまでも澄み渡り、その先に待つ明日を爽やかに予感させるのでした。


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