最近、SNSや広告で「純金積立」で資産形成を始める人が増えています。金は「有事に強い安全資産」として注目され、毎月少額からコツコツ積み立てできる手軽さも魅力です。しかし銀行や貴金属会社の純金積立には、初心者が見落としがちな致命的な欠陥が潜んでいます。本記事では、「そもそも銀行などで金積立すること自体が間違いではないか?」という視点から、初心者の方にも分かりやすくその問題点を解説します。大切な資産を詐取されないよう注意し、より有利で自由な金投資の方法を一緒に考えてみましょう。
・資産が身動き取れない?純金積立サービスの欠陥 ・手数料に要注意:積立コストが高すぎる現実 ・田中貴金属の手数料改定:ユーザーに逆風 ・もっと自由で合理的な「金」の積立法とは? ・情報に踊らされないために:本質を見極めよう ・おわりに:賢い選択で資産を守ろう ・書籍紹介
資産が身動き取れない?純金積立サービスの欠陥
銀行や貴金属会社が提供する純金積立サービスでは、一度積み立てた資産が他の商品へ移せないという大きな制約があります。たとえば、毎月積み立てて貯めた金を株式や他の投資信託に乗り換えたいと思っても、直接スイッチすることはできません。資産がその口座内で拘束され、動かすには一旦現金化(売却)するしかないのです。現金化すれば当然売却時の手数料やスプレッド(売買価格差)がかかり、さらに利益に税金も課されます。つまり、純金積立では流動性(資産の自由度)が低いのが欠陥と言えます。
仮に純金積立で100万円分の金を保有していても、その金をそのまま別の金融商品に移すことはできません。一方、証券会社の口座でETF(上場投資信託)を100万円分持っていれば、それを売却して株式や他の投信に乗り換えることが容易です。純金積立だとこうした柔軟な資産運用ができず、資産が半ば「身動き取れない」状態になってしまいます。
この資産拘束の問題は、万一サービス提供会社の状況が悪化した際にも影響します。純金積立で購入した金は自分ではなく業者に預ける形になるため、運営会社が破綻した場合のリスクも指摘されています。特に預けた金を会社が他用途に流用できる「消費寄託」で管理されている場合、倒産時に手元に戻らない恐れすらあります。信頼できる会社選びや資産保全の方法を確認しないと、最悪の場合資産を失うリスクがある点にも注意が必要です。
手数料に要注意:積立コストが高すぎる現実
純金積立は「毎月〇〇円からOK」と手軽さが強調されますが、その裏で手数料コストが大きな負担になります。多くの金融機関では毎月の積立額に対し約1~3%もの手数料がかかります。一見わずかな数字に思えますが、毎月取られ続けると長期では決して無視できません。たとえば田中貴金属工業の場合、積立額3,000~29,000円では手数料2.5%が2.8%に引き上げられることが発表されました。これは月々1万円積み立てると毎回280円、年間で3,360円も手数料を払う計算です。10年続ければ3万円超が手数料に消えることになり、利息も付かない純金ではこのコストは非常に重い負担です。
一方で、株式やETFなど他の投資商品の手数料は1%未満が一般的で、中には売買手数料無料の証券会社もあります。この比較からも純金積立のコストの割高さが分かります。長期の資産形成では手数料の高さがリターンを削る大きな要因になりかねず、「純金積立はやめとけ」と言われる理由の一つともなっています。
田中貴金属の手数料改定:ユーザーに逆風
実際に最近、田中貴金属工業が約40年ぶりに手数料を引き上げると公表し、話題となりました。2026年1月の積立分から適用され、先述のように小口積立の手数料が2.5%→2.8%に上昇します。また積立額3万円以上でも2.0%→2.2%、5万円以上でも1.5%→1.6%へと軒並み上がります。物価上昇や加工コスト高騰が背景とはいえ、利用者の負担増は避けられません。
さらに地金の引き出しルール変更も行われます。2025年12月16日以降に解約手続きを開始した場合、保有する金地金を現物で引き出せず現金精算のみになるという内容です。解約前に事前に引き出しておかないと金のまま受け取れず、実質的に現物受け取りのハードルが上がりました。発表当初SNS上では「もう地金が引き出せなくなるのか?」と不安の声が広がり、大きな混乱を招いたほどです。田中貴金属側は「変更は精算時のみで、積立停止しても預かり残高のある口座を持っている限り地金は引き出せる」と説明し直しましたが、いずれにせよ規約変更ひとつでユーザー不利益が生じるリスクを露呈しました。
これらの例から分かるように、純金積立は手数料コスト増やサービス条件の改悪に左右されやすく、利用者にとって予想外のデメリットが出る可能性があります。大手の田中貴金属や銀行だからといって安易に安心せず、自分の資産にどう影響するかを冷静に見極める必要があります。
もっと自由で合理的な「金」の積立法とは?
では、金投資自体を諦めるべきかというと、決してそうではありません。金は依然としてインフレや有事に強い資産ですから、資産の一部を金で持つ意義は十分あります。ただし、その手段として「銀行や田中貴金属の純金積立」にこだわる必要はありません。より自由で合理的なルートとして、以下の方法を提案します。
◼︎1 NISA口座で金ETFや金関連の投資信託を積み立てる
金そのものを定期積立する代わりに、証券会社のNISA(少額投資非課税制度)口座で金価格連動型のETF(上場投資信託)や金に投資する投資信託を積み立てる方法です。NISAであれば売却益や分配金が非課税になるため、純金積立のように利益に対し約20%の税金を取られることがありません。非課税で金に投資できる点で有利です。また、投資信託やETFには信託報酬(運用管理費用)がかかりますが、たとえば信託報酬0.3~0.5%程度の金ETFであれば純金積立の月次手数料より割安になる場合も多いでしょう。実際、純金積立はNISAなど税制優遇が使えないのが大きなデメリットであり、税金面でも投資効率が劣ります。NISAでの金ETF積立は、その弱点をカバーする賢い手段です。
◼︎2 十分貯まったら1オンス金貨などの現物を購入
NISAで積み立てた金ETF等を売却すれば現金が手に入ります。その現金で自分で1オンス金貨(31.1gの純金コイン)や小型の金地金を購入するのも一案です。1オンス金貨は世界共通の純度・重量で流通しており、資産保全に適しています。たとえば金ETFを何年か積み立てて評価額が数十万円になったタイミングで、証券口座から資金を出金して田中貴金属やコインショップで1オンスの金貨を買うことができます。こうすれば手数料が高い純金積立を延々続けなくても、手元に現物資産として金を保有できます。もちろん金貨購入時にはプレミアム(加工費)が付きますが、まとめて買えば割高な積立手数料を毎月払い続けるより合理的です。また、現物の金貨であれば銀行や業者の倒産リスクに左右されず自分で保有できます。
以上の方法により、低コストかつ税金面でも有利に金に投資しつつ、最終的には自分で現物(金貨など)を持つというゴールも達成可能です。途中で「やはり金ではなく他の資産に回したい」と思えば、NISA内で金ETFを売却して別のETFや株式を買うことも自由自在です。まさに資産の流動性と選択肢を確保しながら金投資を行える点で、純金積立より柔軟で賢明なルートと言えるでしょう。
情報に踊らされないために:本質を見極めよう
SNSやネット上には「金積立こそ安心」「○○銀行の純金積立が簡単でおすすめ!」といった情報があふれています。確かに金は魅力的な資産ですが、大切なのは周囲の流行に踊らされず、自分にとっての投資の本質を考えることです。投資の目的は人それぞれですが、多くの方に共通するのは資産を効率的に増やし、守ることでしょう。その視点に立てば、
いざという時に現金化したり他の資産に移し替えたりできる自由度があるか。金は世界共通の価値を持ち買い手も多いため換金性自体は高いですが、純金積立という枠組みの中では流動性が制限されます。自由度の高い証券口座での運用かどうかは重要です。
⚫︎透明性
手数料や価格設定が明確で納得できるか。田中貴金属などの純金積立では売買時のスプレッド(買値と売値の差)が広めに設定される傾向があり、たとえば現物購入なら1%未満の差で済むところが純金積立では2~5%も差が出る場合があります。こうしたコストが見えにくい商品より、自分で市場価格で売買できるETF等の方が透明性が高いと言えます。
⚫︎非課税制度の活用
前述の通り、NISAなど税優遇の有無は長期運用の成果に大きな差を生みます。純金積立は税優遇なし・利益に課税という点で不利です。非課税で運用できる手段を優先することが、資産形成の効率を上げるポイントです。
これらの観点から、自分に合った方法を選ぶことが大切です。「なんとなく安心そう」「みんなやっているから」という理由だけで飛びつくのではなく、一歩立ち止まって本質を熟考する姿勢が資産運用では求められます。幸い、現在は証券会社経由で少額から様々な資産に投資できる時代です。金への投資も例外ではなく、純金積立だけが唯一の方法ではありません。
おわりに:賢い選択で資産を守ろう
金の積立自体は決して悪いことではなく、将来の資産防衛策として有効です。しかし、「どこで」「どうやって」積み立てるかによって、その成果は大きく変わります。銀行や貴金属会社の純金積立は手軽さの裏に高コストや資産拘束といった落とし穴があります。大切なお金を預ける以上、その商品設計や手数料体系、ルール変更リスクまで理解しておきましょう。「知らなかった」では済まされない世界です。
幸い、本記事で紹介したNISAを活用した金ETF積立→金貨購入というルートなら、流動性・透明性・非課税メリットを享受しながら金投資ができます。初心者の方でも少し勉強すれば難しい手法ではありません。ぜひ情報に流されず、自分の頭で考えてベストな選択をしてください。堅実かつ柔軟な方法で金とうまく付き合い、将来の安心につなげていきましょう。大切な資産を守るために、「本当にその積立方法で良いのか?」今一度見直してみることを強くお勧めします。