家計の埋蔵金
お金を増やしたいなら積立型保険はやめよう③ 〜学資保険〜

子どもの学資準備なら学資保険!?
前回の記事では
終身保険を活用した学資資金準備の例をあげました。
返戻率というものにダマされずに、
利回りで計算してみたら全然お得ではないことがわかったと思います。
しかし、
それは終身保険だからお得じゃないのでは?とか
学資保険という名前だけあって、学資準備のためなら学資保険が一番いいんじゃないの?
なんて声も聞こえてきそうなので、
今回は学資保険が実際どのくらいお得なのかを見ていきます。
今回も前回と同じく学資準備をするために、学資保険を活用する例で見ていきましょう。
目的:お子さまの学資資金を18年後に400万円準備する。
契約者:父親(32歳)
被保険者:お子さま(0歳)
【学資保険】
保険料を支払う期間:18年
毎月の保険料:18,718円
.png)
お子さまが0歳から18歳まで毎月18,718円を払っていきますので、総額4,043,088円支払うことになります。
契約者である父親が払込途中でお亡くなりになってしまった場合は、それ以降保険料の支払いはなくなりますが、学資年金は予定通り受け取れますので、保障機能もついている商品ということですね。
お子さまが大学入学にあたる18歳で140万円、19歳~22歳で毎年70万円、合計5回学資年金を受け取れます。
合計420万円を受け取ることができるので、返戻率103.8%、約16万円のプラスです。
(この学資保険も保険商品ですから、年齢や性別などによって返戻率が変わります。)
学資保険を利回りで表してみよう
さて、上記の学資保険、返戻率103.8%、約16万円のプラスという商品ですが、
他の商品に比べてどれだけ「お得」なのか、この情報だけではわかりません。
例えば銀行預金に比べてどのくらいお得か、
比較するためには一般的に金融商品で使われる「利回り」に直すことで初めて比較ができるわけです。
そこでこの学資保険を利回り表記に直して見てみましょう。
計算する際の注意点!
この学資保険、420万円を受け取れるのは払込を開始してから22年後です。
利回り計算する場合、「22年で420万円を達成した」という計算をしなければなりません。
つまり、学資保険としては払込期間18年ですが、
利回り計算のときは22年かけて総額4,043,088円を払って、22年目で420万円になったという計算、
つまり毎月15,315円を22年積み立てたという計算をしています。
それでは利回り計算の結果を見てみましょう!
楽天証券の「積立かんたんシミュレーション」を使用して計算しました。

はい、「0.35%」です!
返戻率103.8%、約16万円プラスになります!というこの学資保険は
「利回り0.35%」の商品ということです。
いかがでしょうか?
予想通りでしたか?
お子さまが生まれたら学資保険というし、学資準備のためなら学資保険が一番いいんじゃないの?と思われていた方にとってみたら驚きの結果だったかもしれません。
しかし物差しを合わせて「利回り」に直して比較してみたら、
実は終身保険よりも若干ではありますが「お得ではない」商品なんですね。
また、学資保険は受け取るタイミング・金額が保険会社によって決められています。
上記の例で言えば、大学入学時点で140万円受け取れることになっていますが、
もしかしたらそれよりももっと大きい金額、例えば200万円を入学時点で受け取りたいと思うかもしれません。
また、毎年1回もらえることになっていますが、2回受け取りたいと思う年があるかもしれませんし、2回どころか複数回欲しいと思うことがあるかもしれません。
そういった面では、学資保険より終身保険の方が自由度が高いので使い勝手はいいです。
終身保険は、払込が終わった後、例えば200万円受け取りたいという場合は
200万円分「一部解約」して受け取ることができますし、それを受け取った翌月また受け取りたいと思えばまた「一部解約」して受け取ることが可能です。
解約返戻金が0になるまで「一部解約」を繰り返すことが可能です。
(下図イメージ)
.png)
こういった受取の自由度からも、学資保険を活用せず、終身保険を学資目的で活用されている方が多かったりします。
でも、結局終身保険にしても学資保険にしても、利回り1%もないんですよね。
これはかなりマズいことです。
何がマズいか皆さんわかりますか?
インフレに対応できる?
皆さんは日銀が「インフレ目標2%」を掲げていることをご存知ですか?
【日本銀行】
2%の「物価安定の目標」と「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」
簡単に言うと、『物価が安定的に毎年2%ずつアップすることが目標。それが達成するまでマイナス金利を続ける』と言っています。
今現在、毎年2%アップは達成できていませんが、もし2%が達成できたとなるとどういうことになるでしょう?
例えば1万円持っていたとしたら、1,000円の商品を10個買えますよね。
でも物価が2%上がる=1,000円のものが1,020円になるわけですから、同じ1万円でも10個買えなくなってしまいます。
つまり手元のお金も運用していかないと、自分のお金がどんどん目減りしていってしまいます。
もしインフレ2%が達成された場合、
自分のお金を2%以上運用することができて初めて「お金が増えた」と言えるのです。
今後インフレ2%が達成できるかどうかはわからないにしても、それを目標に動いているということは、それに対応できるもので対策しておかないとマズいですよね。
18年後に利回りが0.4%の終身保険や学資保険では、そもそも大して増えていない上に、インフレには全くもって対応ができない商品ということになります。
「お金を増やしたいなら積立型保険はやめよう」とお伝えしてきました。
中長期でお金を準備していくのであれば「お金が増える」と言える、最低でも利回り2%以上を確保できる商品で準備していくことを強くお勧めします!
さて、前回と今回で終身保険と学資保険についてを見てきましたが、
保険で積立というときによく出てくる個人年金保険についてもどのくらい「お得」なのか、検証してみようと思います。
もう皆さん予測はついていると思いますがw
次回解説していきますのでお楽しみに。