2025/10/14

S&P500だけが正解じゃない!〜 100人100通りの投資スタイルとは 〜

最近は若い世代や女性を中心に、「貯蓄から投資へ」の流れが加速しています。日本経済新聞の読者アンケートでは、毎月の新規投資額の中央値が10万円台で、30~40代では毎月10万~20万円を投資している人が最も多い層でした。また、20~40代の約3割が3年前より新規投資額を2倍以上に増やしていたこともわかります。投資を始めたきっかけとして「NISAを活用するため」と答えた人も45%にのぼり、2024年からの新NISA制度がこのブームを後押ししているようです。

政府も掲げる「貯蓄から投資へ」の追い風を受け、NISA制度は2024年に抜本的な拡充・恒久化が行われました。年間最大360万円まで投資でき、生涯非課税枠も合計1,800万円に拡大、さらに非課税保有期間が無期限となったのです。制度面の後押しがある今、投資デビューを考えるのは遅すぎるどころか、むしろ絶好のタイミングと言えるでしょう。

とはいえ、アンケート結果を鵜呑みにして「自分も毎月10万円投資しなければ」と焦る必要はありません。調査対象は日経電子版のID所有者で、回答者の72%が既に円預金以外の金融商品に投資している層でした。言い換えれば、投資に熱心な比較的高所得・高資産の人々が多く含まれていた可能性があります。

日本全体で見ると、家計の金融資産のうち株式・投信の割合はまだ18%程度で、残りの半分以上(51%)は現預金が占めているのが実情です。アンケートの数字は「投資先進層」の一例と捉えて、自分の状況と比べて過度に落ち込む必要はないでしょう。むしろ、「これから投資を始めよう」という人が確実に増えている流れこそが重要です。今からでも遅くなく、少額からでも自分に合った形で資産運用の一歩を踏み出してみませんか。



インフレ時代、「投資しないこと」がリスクに

老後資金づくりやインフレ対策としても、投資の必要性が高まっています。前述の日経アンケートでも、投資の目的として「老後資産形成」を挙げた人が67%、「インフレ対策」が49%に上りました。2019年に話題になった「老後2000万円問題」や、その後の物価上昇による現金価値の目減りをきっかけに、貯蓄だけでは不安だと感じる人が増えたのでしょう。実際、東京都在住のある44歳会社員の男性は「消費を抑えてでも投資に回しお金を働かせている。インフレの時代に投資しないことはリスクだ」と語っています。預金しているだけでは物価上昇に追いつかず、実質的に資産が目減りしてしまう今、「お金に働いてもらう」ことの重要性を多くの人が実感し始めています。

もちろん、インフレ対策として投資をする場合でも、必ずしも株式だけにこだわる必要はありません。たとえば歴史的に金(GOLD)はインフレに強い実物資産とされており、ポートフォリオの一部に組み込んでいる投資家もいます。しかし、何に投資するかはあくまで自分の方針次第です。大切なのは「現金だけでは不安だから、何らかの形で資産を運用する」という一歩を踏み出すことだと言えます。


闇雲な投資は禁物:正しく学んでステップアップ

投資を始めること自体は良いことですが、「とりあえず始めれば何とかなる」と闇雲に飛び込むのは禁物です。実際、「新NISAで人気の全世界株(オルカン)やS&P500にとりあえず投資しておけば安心」と考える初心者も少なくありませんが、その後何も考えずに資産形成を続けると、思わぬ損失や期待はずれの結果に後悔する恐れがあると指摘されています。そうした事態を避けるには、投資の目的やゴールを最初にしっかり定め、自分の運用状況を定期的にチェックすることが大切です。たとえば「○年後に○万円の資産を作りたいから年間○%の利回りを目指そう」など、自分なりの目標設定をするだけでも、行き当たりばったりの投資になるのを防げます。

また、基礎的な金融知識(リテラシー)を身につけることも欠かせません。日経の調査でも、知識レベルによって投資に対する姿勢に大きな差が出ることが明らかになりました。金融リテラシークイズで満点だった層の83%が実際に資産運用を行っており、これは全回答者平均の72%を上回っています。さらに「投資は損失リスクがあるが、長い目で見れば資産を増やせる」という見方に賛同した人は、知識満点層で71%だったのに対し、知識ゼロ層では31%にとどまりました。知識がある人ほど投資のメリットとリスクを正しく理解し、腰を据えて運用に臨めていることがうかがえます。

このような傾向を踏まえ、政府や金融機関も金融教育に力を入れ始めています。2024年に設立された金融経済教育推進機構(J-FLEC)では講師派遣などを通じて全国で啓発活動を進めており、今年4~9月にはその回数が約1,600件にのぼりました。実際、こうした講義に参加した20歳の大学生が「正しい知識を身につけたら投資を始めてもいいと前向きになった」と語っています。最初は難しく感じるかもしれませんが、基本的な仕組みやリスク管理について学べば、余計な不安に振り回されずに済むでしょう。投資は一度始めて終わりではなく、続けながら学んでいくものです。焦らず一歩ずつ、自分のペースで知識と経験を積み重ねていきましょう。


100人いれば100通り:自分に合う投資スタイルを

投資に「これさえやれば完璧」という万人共通の正解があるわけではありません。たしかに、米国株の代表指数であるS&P500や全世界株式(オルカン)に連動するインデックス投資は、多くの人にとって手堅く効率的な方法でしょう。実際、日経のアンケート記事でも全世界株やS&P500に積極的に投資する人が紹介されています。ある40代の投資家は、月収約50万円のうち生活費の6カ月分を手元に残しつつ、余裕資金で毎月30万円を全世界株やS&P500連動の投信積立に充てているそうです。このように堅実なインデックス運用は王道の戦略ですが、それだけが唯一の正解というわけではありません。

投資の手法やスタイルは、人それぞれの状況や価値観によって異なります。自分に合ったスタイルを考えるうえで、以下のような要素が関わってきます。

⚫︎年齢・ライフステージ
たとえば20代と60代では、リスク許容度や運用期間の長さが異なります。若いほど多少リスクを取っても挽回できますが、年配になるほど安全重視になる傾向があります。

⚫︎収入・資産規模
毎月10万円投資できる人もいれば、1万円が精一杯の人もいます。無理のない範囲で積み立てる金額や資産配分は変わって当然です。

⚫︎投資の目的
老後資金づくりなのか、マイホーム・教育資金なのか、それとも「将来の選択肢を広げたい」程度なのか。目的によって目指すリターンや期間も違います。

⚫︎リスク許容度・性格
値動きに一喜一憂してしまう性格なら、価格変動の大きい商品ばかりではストレスになるかもしれません。逆に多少の上下は気にならないタイプなら、株式の比率を高めてもよいでしょう。

⚫︎興味・関心
投資対象への興味も大切です。テクノロジーが好きならハイテク株に詳しくなるかもしれませんし、不動産に明るい人はREIT(不動産投資信託)や現物不動産投資に挑戦するかもしれません。金やコモディティに関心があれば、それらを組み入れてみるのも一つの手です。

このように、100人いれば100通りのポートフォリオがあって当然です。他人が「これがいい」と言う商品が、自分にとってもベストだとは限りません。大事なのは、流行や他人の真似に振り回されず、「自分が納得できるか」「無理なく続けられるか」という視点で投資方法を選ぶことです。仮に今、万人に勧められている手法を実践していても、一度立ち止まって「このやり方は自分に合っているだろうか?」と考えてみる価値があります。逆にまだ具体的なスタイルが固まっていない人も、焦らず色々試しながら、自分なりの投資のマイルールを見つけていけば良いのです。


おわりに:自分のスタイルを定期的に見直そう

投資の世界には常に新しい情報や環境の変化があります。数年前には正解だと思われていた手法も、自分のライフステージが変われば合わなくなることもあります。大切なのは、定期的に自分の投資スタイルを見直し、必要に応じて軌道修正する柔軟さです。本記事をきっかけに、「自分の資産運用、このままでいいのかな?」と一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。周りに流されることなく、自分らしいペースで賢くお金と付き合っていきましょう。


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